佐々木味津三 『山県有朋の靴』 「ふ、ふ、ふ、ふ……」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『山県有朋の靴』

現代語化

「ふふふふ……」
「おい、お前、最近、何してんの?」
「こっちで噂になってんだけど、山県狂介のところで、下男みたいな居候みたいなことをしてるんだって。まだいるのか?」
「いるよ」
「情けないやつだな。幕臣って言われたほどの身分が、敵みたいな奴のご飯を貰って食って、卑怯すぎると、みんな怒ってたぜ。――そんな奴のとこにいるのって楽しいのか?」
「ちっとも楽しくねえ」
「楽しくねえなら、さっさと飛び出したらどうだ?」
「でも、外の世界っても大して楽しくねえだろ」
「気のないこと言うなよ。こんなとこで何ボーッとしてんの?」
「新聞社に文句言いに行ってこいって言われて、外に出たところだ」
「何の文句言いに行くんだ?」
「狂介狂介って呼び捨てにするから、脅してこいって」
「行くつもりか?」
「行かないよ。狂介だから狂介って言われるのは当たり前だしな。だから、ボーッとしてた」
「意地があるのかないのか、クラゲみたいなこと言うなよ。――可哀想な気もするな。飲みに行くなら奢ってやるけど」
「金あるのか?」
「あるから連れて行ってやるんだろ。――行くか?」
「…………」

原文 (会話文抽出)

「ふ、ふ、ふ、ふ……」
「おまえさん、近ごろ、なにをしておいでじゃ」
「こっちで言いたい言葉じゃ、貴公、山県狂介のところで、下男のような居候のような真似をしておるとかいう話じゃが、まだいるのか」
「おるさ」
「見さげ果た奴じゃ。仮りにも旗本と言われたほどの幕臣が、讐同然な奴の米を貰うて喰って、骨なしにもほどがあると、みんなも憤慨していたぞ。――あんな奴のところにおったら面白いのか」
「とんと面白くない」
「なければ、そんなところ飛び出したらどうじゃ」
「かと言うて、世間とてもあんまり楽しくあるまい」
「張り合のないことを言う男じゃな。こんなところでなにをぼんやりしていたのじゃ」
「新聞社へネジ込んで来いと言うたんで、出て来たところさ」
「なにをネジ込みに行くのじゃ」
「狂介狂介と呼びずてにするから、脅して来いと言うのさ」
「行くつもりか」
「いきませんね。狂介だから狂介と言われるに不思議はないからな。随って、ぼんやりと立っていたのさ」
「骨があるのかないのか、まるで海月のようなことを言う奴じゃな。――不憫な気がしないでもない。望みならば、一杯呑ましてやろうか」
「金はあるのか」
「あるから、つれていってやろうと言うのじゃ。――行くか」
「…………」


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