佐々木味津三 『十万石の怪談』 「話してはならぬ! やめろっ。やめろっ。あ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『十万石の怪談』

現代語化

「喋っちゃいけない! やめろ。やめろ。あれを喋るな! 喋るのはやめろ」
「なんだ! 変なことを言うな。何なんだ! 何なんだ!」
「やめろってどういうことだ! あの話はどんな話なんだ? 千之介がまたなぜ止めるんだ?」
「…………」
「なぁ林田。何かわけがありそうだ。聞かないと気が済まないぞ。一体何がどうしたんだ?」
「いえ、実は、あの――」
「言うなと申すのに! なんで言うんだ!」
「控えろ! 波野!」
「気持ち悪い奴だな!お前は今夜は怪しいことばかりしてる。私が聞いてるのはお前じゃなくて門七だ。林田! 殿の命令だ! 言ってみろ!」
「はい。殿のご命令となれば仕方ないですね。千之介が厳しく叱ったのも無理はありません。実は波野と二人でこの怪談話を以前ある人から聞いたんです。その時に語り手が言いましたよ。これからこの怪談話をうっかり人に喋ると、語り手か聞き手に災いが降りかかるか、いずれにしても必ず祟りがあるから気をつけろって、気持ち悪く念を押されたんです。千之介がそれを怖がってやめろと言ったんです」
「わははは。何を言ってるんだ。お前たち二人は二本松十万石でも有名な気性の強い奴らじゃないか。そんな根拠のないことを怖がってどうするんだ。喋ったのは誰なのか知らないが、その人はどうなった?喋ったために祟られたのか?」
「いえ、そういうことはありません」
「そうだろう! 語り手も無事で、聞いたお前たちも今までこんなに元気にしてるんだから、何を怖がる必要があるんだ! 長国は十万石を賭けてもぜひ聞いてみたい気になった。いや、殿の命令として要求する! その怪談話をしてみろ!」
「はい。殿のご命令があれば申します。話は――」
「駄目だ! 門七![らぬぞ![らぬぞ! 祟りがあっても俺は知らないぞ」
「構わない! 祟りがあれば俺が引き受けるわ。急に喋ってみたい気分になってきた。ハハハ……。殿! すごい話ですよ。よく聞いてください」

原文 (会話文抽出)

「話してはならぬ! やめろっ。やめろっ。あれを喋舌ってはならぬ! 言うのはやめろっ」
「なに! 異なことを申したな。何じゃ! 何じゃ!」
「やめろとは何としたのじゃ! あの話とはどんな話ぞ? 千之介がまたなぜ止めるのじゃ」
「…………」
「のう林田。仔細ありげじゃ。聞かねばおかぬぞ。何が一体どうしたというのじゃ」
「いえ、実は、あの――」
「言うなと申すに! なぜ言うかっ」
「控えい! 波野!」
「気味の悪い奴よのう! その方は今宵いぶかしいことばかり致しおる。尋ねているのはそちでない。門七じゃ。林田! 主の命じゃ! 言うてみい!」
「はっ。主命との御諚で厶りますれば致し方厶りませぬ。千之介がけわしく叱ったのも無理からぬこと、実は波野と二人してこの怪談を先達てある者から聞いたので厶ります。その折、語り手が申しますのに、これから先うっかりとこの怪談を人に語らば、話し手に禍いがかかるか、聞き手の身に禍いが起るか、いずれにしても必ずともに何ぞ怪しい祟りがあるゆえ気をつけいと、気味のわるい念を押しましたゆえ。千之がそれを怖れてやめろと申したので厶ります」
「わははは。何を言うぞ。そち達両名は二本松十万石でも名うての血気者達じゃ。そのような根も葉もないこと怖がって何とするか、語ったは誰か知らぬが、その者はどうしたぞ?語ったために何ぞ崇りがあったか」
「いえ厶りませぬ」
「それみい! 話し手も息災、きいたそち達も今まで斯様に無事と致さば何の怖れることがあるものか! 長国、十万石を賭けても是非に聞きとうなった。いや主命を以て申し付くる! その怪談話してみい!」
「はっ。君命とありますれば申しまするで厶ります。話と言うは――」
「よさぬか! 門七![らぬぞ![らぬぞ! 崇りがあっても俺は知らぬぞ」
「構わぬ! 崇りがあらば俺が引きうけるわ。何やら急に話して見とうなった。ハハハ……。殿! 物凄い話で厶りまするぞ。とくと、おきき遊ばしませ」


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