佐々木味津三 『老中の眼鏡』 「あれは、道弥はおらぬと見えるな。もう何刻…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 佐々木味津三 『老中の眼鏡』

現代語化

「あれは、道弥がいないようだな。もう何時頃だろう?」
「今、4時を打っております」
「もうそんな夜更けか。不思議な消え方をした。よく調べてみろ」
「……?」
「首を傾げてるが、どうした」
「ちょっと不審に思っております。油も芯も十分ございますのに――」
「なんと!……十分あるのに消えるというのは不思議だな。もし消す術を使ったとしたら――」
「忍術に長けた者の仕業でしょう」
「そうかもしれない。伊賀流にいたはずだ。そうすると少し――」
「気味が悪うございます。油断はなりませんぞ」
「…………」
「よろしゅうございましょうか?」
「何だ」
「さっそくに宿居の方々にお伝えして、お急ぎで警備の数を増やすよう申し伝えまするゆえ、殿、お考えは?」
「…………」
「いかがでございます。よろしゅうございましょうか?」
「騒ぐな。行け」
「でも――」
「国政が大変な今、廟堂にいるものにそのくらいの敵がいるのは当然だ。行け」

原文 (会話文抽出)

「あれは、道弥はおらぬと見えるな。もう何刻頃であろう喃?」
「只今四ツを打ちまして厶ります」
「もうそのような夜更けか。不思議な消え方を致しおった。よく調べてみい」
「……?」
「首をひねっておるが、何としてじゃ」
「ちといぶかしゅう厶ります。油も糸芯も充分厶りますのに――」
「喃!……充分あるのに消えると申すは不思議よ喃。もし滅火の術を用いたと致さば――」
「忍びの術に達した者めの仕業で厶ります」
「そうかも知れぬ。伊賀流のうちにあった筈じゃ。そう致すと少し――」
「気味のわるいことで厶ります。御油断はなりませぬぞ」
「…………」
「およろしくば?」
「何じゃ」
「さそくに宿居の方々へ御注進致しまして、取急ぎ御警固の数を増やすよう申し伝えまするで厶りますゆえ、殿、御意は?」
「…………」
「いかがで厶ります。およろしくば?」
「騒ぐまい。行けい」
「でも――」
「国政多難の昨今、廟堂に立つものにその位の敵あるは当り前じゃ。行けい」


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