小林多喜二 『蟹工船』 「――間違っていた。ああやって、九人なら九…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 小林多喜二 『蟹工船』

現代語化

「――間違ってた。ああやって、9人なら9人という人間を、表に出すんじゃなかった。まるで、俺たちの急所はここだ、と知らせてやってるようなもんだろ。俺たち全員は、全員が一緒になったようにやらなきゃいけなかったんだ。そしたら監督だって、駆逐艦に無電は打てなかっただろう。まさか、俺たち全員を引き渡すなんてこと、できないからな。仕事が、できなくなるもの」
「そうだ」
「そうだよ。今度こそ、このまま仕事してたんじゃ、俺たち本当に殺されるよ。犠牲者を出さないように全員で、一緒にサボるんだ。この前と同じ手で。吃りが言ったんだろ、何より団結することだって。それに団結したらどんなことができたか、ってことも分かってるはずだ」
「それでももし駆逐艦を呼んだら、みんなで――この時こそ団結して、一人も残らず引き渡されよう! その方がかえって助かるんだ」
「んか知らない。でも考えてみれば、そんなことになったら、監督がまず慌てるよ、会社に申し訳ないし。代わりを函館から取り寄せるには遅すぎるし、出来高だって問題にならないくらい少ないし。……うまくやったら、これは案外大丈夫だよ」
「大丈夫だよ。それに不思議に誰だって、ビクビクしてないしな。皆、クソ野郎! って気持ちだ」
「本当のことを言うと、そんな先の成算なんて、どうでもいいんだ。――死ぬか、生きるか、だからな」
「ん、もう一回だ!」

原文 (会話文抽出)

「――間違っていた。ああやって、九人なら九人という人間を、表に出すんでなかった。まるで、俺達の急所はここだ、と知らせてやっているようなものではないか。俺達全部は、全部が一緒になったという風にやらなければならなかったのだ。そしたら監督だって、駆逐艦に無電は打てなかったろう。まさか、俺達全部を引き渡してしまうなんて事、出来ないからな。仕事が、出来なくなるもの」
「そうだな」
「そうだよ。今度こそ、このまま仕事していたんじゃ、俺達本当に殺されるよ。犠牲者を出さないように全部で、一緒にサボルことだ。この前と同じ手で。吃りが云ったでないか、何より力を合わせることだって。それに力を合わせたらどんなことが出来たか、ということも分っている筈だ」
「それでも若し駆逐艦を呼んだら、皆で――この時こそ力を合わせて、一人も残らず引渡されよう! その方がかえって助かるんだ」
「んかも知らない。然し考えてみれば、そんなことになったら、監督が第一周章てるよ、会社の手前。代りを函館から取り寄せるのには遅すぎるし、出来高だって問題にならない程少ないし。……うまくやったら、これア案外大丈夫だど」
「大丈夫だよ。それに不思議に誰だって、ビクビクしていないしな。皆、畜生! ッて気でいる」
「本当のことを云えば、そんな先きの成算なんて、どうでもいいんだ。――死ぬか、生きるか、だからな」
「ん、もう一回だ!」


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