小林多喜二 『蟹工船』 「可哀相なもんだ。――これじゃ本当に死にた…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 小林多喜二 『蟹工船』

現代語化

「かわいそうだよね。――これじゃ本当に死にたくなかったんだろうな」
「ダメダメ。涙かけると……」
「なんとか、函館まで持って帰れないかな。……おい、顔をみろよ、カムチャッカの冷たい水に入りたくないって言ってるだろ。――海に捨てられるなんて、情けないな……」
「同じ海でもカムチャッカだぜ。冬になれば――9月過ぎれば、船一艘もいなくなって、凍っちゃう海なんだ。北の北の果ての!」
「うん、うん」
「それにさ、こうやって袋に入れるってのに、たった6、7人しかいないんだよ。3、400人もいるのに!」
「俺たち、死んでもろくなれねぇな……」
「私情と仕事をごちゃ混ぜにするな」
「クソジジイ」
「もういいか」
「いい」
「じゃ、運ぶぞ」
「でも、船長がその前に弔辞を読むことになってるんだよ」
「船長が?弔辞?――」
「バカ!そんな悠長なことしてられるか」

原文 (会話文抽出)

「可哀相なもんだ。――これじゃ本当に死にたくなかったべよ」
「駄目々々。涙をかけると……」
「何んとかして、函館まで持って帰られないものかな。……こら、顔をみれ、カムサツカのしやっこい水さ入りたくねえッて云ってるんでないか。――海さ投げられるなんて、頼りねえな……」
「同じ海でもカムサツカだ。冬になれば――九月過ぎれば、船一艘も居なくなって、凍ってしまう海だで。北の北の端れの!」
「ん、ん」
「それによ、こうやって袋に入れるッて云うのに、たった六、七人でな。三、四百人もいるのによ!」
「俺達、死んでからも、碌な目に合わないんだ……」
「私事と公事を混同するな」
「糞壺」
「もういいか」
「いい」
「じゃ、運ぶんだ」
「んでも、船長さんがその前に弔詞を読んでくれることになってるんだよ」
「船長オ? 弔詞イ? ――」
「馬鹿! そんな悠長なことしてれるか」


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