芥川龍之介 『仙人』 「お前は仙人になりたいのだそうだが、一体ど…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『仙人』

現代語化

「お前は仙人になりたいそうだが、そもそもどうしてみんな仙人になりたいと思うんだ?」
「別にこれといった理由はないんですが、あの大阪城を見たら、太閤様みたいな偉い人も、いつか必ず死ぬんだなって。そうすると人間って、どんなに出世しても、しょせんは儚いものだなって思いました」
「じゃあ仙人になれさえすれば、どんな仕事でもするだろうね?」
「はい。仙人になれさえすれば、どんな仕事でもします」
「それなら今日から私の家で、20年間奉公しろ。そうすれば20年後に、仙人になる方法を教えてやる」
「そうなんですか? それはありがたいです」
「その代わり今後20年間は、1円も給料は払わないからね」
「はい。はい。わかりました」

原文 (会話文抽出)

「お前は仙人になりたいのだそうだが、一体どう云う所から、そんな望みを起したのだ?」
「別にこれと云う訣もございませんが、ただあの大阪の御城を見たら、太閤様のように偉い人でも、いつか一度は死んでしまう。して見れば人間と云うものは、いくら栄耀栄華をしても、果ないものだと思ったのです。」
「では仙人になれさえすれば、どんな仕事でもするだろうね?」
「はい。仙人になれさえすれば、どんな仕事でもいたします。」
「それでは今日から私の所に、二十年の間奉公おし。そうすればきっと二十年目に、仙人になる術を教えてやるから。」
「左様でございますか? それは何より難有うございます。」
「その代り向う二十年の間は、一文も御給金はやらないからね。」
「はい。はい。承知いたしました。」


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