小栗虫太郎 『人外魔境』 「じつは、高名な先生にお願いの筋がござんし…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 小栗虫太郎 『人外魔境』

現代語化

「実は、有名な先生にお願いしたいことがあって。って、俺のことはどうでもいいんスけど。それで、要領のいい先生にさっと理解してもらって……」
「何だよ」
「全部、どこに行くとか何をするかっていうのは一切聞かないで、ただ俺の指示通りに親分船に乗ったつもりで、もうすぐ“Salem”を出る『フラム号』って船に乗ってくれればそれでいいんスよ」
「おいおい、俺をどこかの殴り込みに連れてく気か」
「まあ、聞いてくださいよ」
「で、その船は北へ北へ行く。そしたら、そのどっかの氷の中にさ。ぜひ先生の力を借りなきゃいけないものが、おいでを、じっと待ってるんですよ」
「じゃ、そこってどこなんだよ。あと、俺の力を借りるって、何をするんだよ?」
「そこだけは聞かないでください。ただ、言っておくことは、決して悪いことじゃない。法律に触れるようなことでは絶対にないって……そこだけは安心しておいてください」

原文 (会話文抽出)

「じつは、高名な先生にお願いの筋がござんして。と、申しますのは余の儀でもござんせん。ここで、分りのいい先生にぐいと呑みこんで頂いて……」
「なにをだ」
「すべて、どこへ行くとか何をするとか──その辺のところは一切お訊きにならず、ただ手前の指図どおり親船に乗った気で、ちかく“Salem”をでる『フラム号』という船にのって頂く」
「おいおい、俺をどこかの殴りこみに連れてゆくのか」
「マア、お聴きなすって」
「で、その船は北へ北へとゆく。すると、そのどこかの氷のなかにだね。ぜひ先生のお力を拝借せにゃならねえものが、おいでを、じっと待ってるんですよ」
「では、そこは何処なんだね。また、僕の力を借りるとは、何をすることなんだ?」
「どうか、それだけはお訊きにならねえで。ただ、申しあげておくのは、けっして邪しいことじゃない。法律に触れるようなことでは絶対にないという……その点だけはご安心願いたいもんで」


青空文庫現代語化 Home リスト