GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『三浦老人昔話』
現代語化
「でも、無いものを無理じゃないですか」
「無理でも返せ」
「まあ、ゆっくりしてくださいよ。そのうちどこかから出てくるかもしれませんから」
「ほら。お前が隠したんだろ?」
「だって、あなたがあまりに強情だからです。あなたが私の言うことを聞かないなら、私もあなたの言うこと聞きませんよ。それが、魚の心に水心ってやつじゃないですか」
「だから、また今度来る。今日は勘弁してくれ。もう7時過ぎてるし、俺は急いで行かないと」
「7時過ぎには行かねばならぬ――なんだ、決まり文句ですね」
「おい、本当に返さないのか?」
「返しません。あなたが言うことを聞かないなら…」
「さあ、どこに隠した。案内しろ」
原文 (会話文抽出)
「では、どうしても返してくれないか。」
「でも、無いものを無理じゃありませんか。」
「無理でもいゝから返してくれ。」
「まあ、ゆっくりしていらっしゃいよ。そのうちには又どっかから出て来ないとも限りませんから。」
「それ、みろ。おまえが隠したのじゃないか。」
「だって、あなたがあんまり強情だからさ。あなたがわたしの云うことを肯いてくれなければ、わたしの方でもあなたの云うことを肯きませんよ。そこが、それ、魚心に水心とか云うんじゃありませんか。」
「だから、また出直してくる。きょうは堪忍してくれ。もう七つを過ぎている。おれは急いで行かなければならない。」
「七つ過ぎには行かねばならぬ――へん、きまり文句ですね。」
「これ、どうしても返さないか。」
「返しません。あなたが云うことを肯かなければ……。」
「さあ、どこに隠してある。案内しろ。」