GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『三浦老人昔話』
現代語化
「でもこんなおばあさんでは…」
「さっきは失礼しました」
「私は雷が大キライで、ゴロゴロ鳴るとすぐ顔色が変わるくらいなんですよ。若い頃は夏が来るのが憂鬱でした。それに、昔は今と違って雷がすごく激しく鳴ってたから、半病人状態で過ごす日がよくありました」
「本当にお前の雷嫌いっぷりは特別だな」
「だって、それが原因で侍を玉無しにしたくらいですからね」
「ああ、もうその話はやめましょうよ」
「まあ、いいよ」
「あなたってそういう話が大好きなんですよね。麹町からわざわざ大久保まで来て、時代遅れのじいさんの昔話を聞きに来るんだから。お前さんも罪滅ぼしに1つ話してはどうだね」
「是非聞かせていただきたいですね」
「だって、つまらない話ですよ」
「とにかく聞かせてください」
「困りましたよ。本当につまらない話ですから」
「つまらなくてもいいんです」
「だって、だめですよ。ねえ、三浦さん」
「2人で押し問答しててもキリがない」
「じゃあ、私が代理で例のお喋りをしましょう。お前さんも関係者だから、黙って座ってて、私が話してる内容が違ったら、その都度指摘してください。逃げちゃだめですよ」
原文 (会話文抽出)
「はゝあ、それは不思議な御縁でしたね。むかしから雨宿りなぞというものは色々の縁をひくものですよ。人情本なんぞにもよくそんな筋があるじゃありませんか。」
「それでもこんなお婆さんではねえ。」
「先刻はまことに失礼をいたしました。」
「わたくしはかみなり様が大嫌いで、ごろ/\と云うとすぐに顔の色が変りますくらいで、若いときには夏の来るのが苦になりました。それに、当節とちがいまして、昔はかみなり様が随分はげしく鳴りましたから、まったく半病人で暮す日がたび/\ございました。」
「ほんとうにお前さんの雷嫌いは格別だ。」
「なにしろ、それがために侍ひとりを玉無しにしたんだからね。」
「あゝ、もうその話は止しましょうよ。」
「まあ、いゝさ。」
「こちらはそういう話が大変にお好きで、麹町からわざ/\この大久保まで、時代遅れのじいさんの昔話を聴きにおいでなさるのだ。おまえさんも罪ほろぼしに一つお聞かせ申したら何うだね。」
「是非聴かして頂きたいものですね。」
「だって、あなた。別に面白いお話でもなんでも無いんですから。」
「どうしても聴かして下さるわけには行かないんでしょうか。」
「困りましたね。まったく詰まらないお話なんですから。」
「詰まらなくてもようござんすから。」
「だって、いけませんよ。ねえ、三浦さん。」
「そう押合っていては果てしがない。」
「じゃあ、一旦云い出したのが私の不祥で、今更何うにも仕様がないから、わたしが代理で例のおしゃべりをすることにしましょうよ。おまえさんも係り合だから、おとなしくこゝに坐っていて、わたしの話の間違っているところがあったら、一々そばから直してください、逃げてはいけませんよ。」