GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『三浦老人昔話』
現代語化
「皆さんどこの方ですか?」
「俺ら地元の人間だ」
「どこのお弟子さんですか?」
「どこの弟子でもねえよ。通りかかったから寄ってみただけだ」
「せっかくですが、今日は通りがかりの方はお入れできません。悪しからず……」
「わけわかんねえな。俺ら地元の人間だ。さっき通りかかったら清元の『浚い』の看板が出てた。他の太夫はみんな知ってるけど、その中に喜路太夫って見知らねえのが1人いたんだ。どんな太夫か1節聞いて、上手かったら贔屓にしてやるよ。だから通してくれ」
「ダメです、ダメです。地元の方でも今日はお断りします」
「どうしても通さないのか。じゃあその喜路太夫を呼んで来い。どんなやつか顔を見てやる」
「さあ、素直に俺らを浄瑠璃を聴かせて入れるか。それとも喜路太夫を呼んで挨拶させるか。さあ、喜路太夫を出せ」
原文 (会話文抽出)
「じゃあ、丁度いゝ。わっし等にも聴かせておくんなせえ。」
「皆さんはどちらの方でございます。」
「わっし等はみんな土地の者さ。」
「どちらのお弟子さんで……。」
「どこの弟子でもねえ。たゞ通りかゝったから聴きに這入ったのよ。」
「折角でございますが、今晩は通りがかりのお方をお入れ申すわけにはまいりません。どうぞ悪しからず……。」
「わからねえ奴だな。おれ達は土地の者だ。今こゝのまえを通ると清元の浚いの立看板がある。ほかの太夫はみんなお馴染だが、そのなかに唯った一人、喜路太夫というのが判らねえ。どんな太夫だか一段聴いて、上手ならば贔屓にしてやるんだ。そのつもりで通してくれ。」
「いけません、いけません。いくら土地の方でも今晩は御免を蒙ります。」
「どうしても通さねえか。そんならその喜路太夫をこゝへ呼んで来い。どんな野郎だか、面をあらためて遣る。」
「さあ、素直におれ達を通して浄瑠璃を聴かせるか。それとも喜路太夫をこゝへ連れて来て挨拶させるか。さあ、喜路太夫を出せ。」