岡本綺堂 『半七捕物帳』 「あの、水槽に近いところにいた奴だろう」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「あの、水槽の近くにいるやつでしょ?」
「そうです、あいつです」
「偽者じゃねえ」
「本物ですか?」
「足を見ろ」
「じゃあ、幕府の役人か?」
「髪の結い方が違う。やっぱり何らかの藩の藩士だな」
「なるほど」
「それで親分。今日はあいつらが風呂敷包みのようなものを重そうに抱えてきて、お吉さんに預けてるのをチラッと見ました。ちょっと調べてみませんか?」
「そういえば、お吉さんがいないみたいだけど、どうしたんだ?」
「今頃は暇だから、子供みたいに外で獅子舞を見てますよ。ちょうど誰もいないから、一応調べておきましょう。また何か手がかりが見つかるかもしれませんから」
「そうだね」
「お吉さんが受け取って、貸し切り着物の棚の中に押し込んだみたいですが……。ちょっとお待ちください。
「ちょっと下に様子を見に行ってきます」
「あいつがもし風呂から上がったら、咳払いをして知らせるように、番台の人に頼んでおきましたから大丈夫ですよ」

原文 (会話文抽出)

「あの、水槽に近いところにいた奴だろう」
「そうです、あの若けえ野郎です」
「あれは偽者じゃあねえ」
「ほんとうの武士でしょうか」
「足を見ろ」
「じゃあ、御家人でしょうか」
「髪の結いようが違う。やっぱり何処かの藩中だろう」
「なるほど」
「そこで親分。きょうは彼奴らが何だか風呂敷包みのようなものを重そうに抱えて来て、お吉に預けている処をちらりと見たんですが。ちょいと検めて見ましょうか」
「そういえば、お吉は見えねえようだが、どうした」
「今時分は閑なもんだから、子供のように表へ獅子舞を見に行ったんですよ。ちょうど誰もいねえから一応あらためて置きましょう。又どんな手がかりが見付からねえとも限りませんから」
「そりゃあそうだ」
「なんでもお吉が受け取って、貸し切りの着物棚のなかへ押し込んだようでしたが……。まあ、お待ちなせえ」
「ちょいと下を見てきますから」
「あいつがもし湯から揚がったら、咳払いをして知らせるように、番台の奴に云いつけて置きましたから大丈夫です」


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