岡本綺堂 『半七捕物帳』 「いよいよ梅雨になりました。ゆうべ幸次郎の…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「いよいよ梅雨になりました。昨日幸次郎の話聞いたので、今朝からはさっそく動き出しました」
「お前はどこに行ったんだ?」
「私は塩町の呉服屋の方です。そこで聞き込んだことだけをお話しします」
「和泉屋っていう家は、店構えを見ても分かる通り、この土地では古いお店で、資産もあるって噂です。主人の久兵衛は50くらい、女房のお大は後妻で34、5です。先妻にも後妻にも子供がいなかったので、主人の甥の清七を養子に迎えて、22歳まで育てましたが、その清七が調布のお国と心中してしまったんです」
「清七は養子だったのか」
「もともとはおとなしく堅実な人間だったそうですが、府中へ行った帰りに一夜遊んだのが病みつきになって、大変なことになったと、近所でも気の毒がられています。それから手代の幾次郎ですが、主人の遠縁の者ということになっていますが、実は番頭の息子だそうです。それにはちょっと訳があって……」

原文 (会話文抽出)

「いよいよ梅雨になりました。ゆうべ幸次郎の話を聞いたので、けさから早速取りかかりました」
「おめえはどっちへ廻ったのだ」
「わっしは塩町の呉服屋の方です。そこで先ず聞き込んだだけのことをお話し申しましょう」
「和泉屋という家は店構えを見ても知られる通り、土地でも旧い店で、身代もしっかりしているという噂です。主人の久兵衛は五十ぐらい、女房のお大は後妻で三十四、五、先妻にも後妻にも子がないので、主人の甥の清七を養子に貰って、二十二の年まで育てて来ると、その清七は調布のお国と心中してしまったという訳です」
「清七は養子か」
「本来はおとなしい、手堅い人間だったそうですが、府中へ行った帰りに一と晩遊んだのが病み付きで、飛んだ事になったものだと、近所でも気の毒がっています。それから手代の幾次郎ですが、主人の遠縁の者だという事になっているが、実は番頭の息子だそうです。それにはちっと訳があるので……」


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