GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「鵜は知ってるけど、値段を聞いてみただけよ」
「だから冷やかすって言ってるんだ。江戸の人が鵜を買ってどうすんだ。それとも最近の江戸じゃ、鵜を煮て食うのが流行ってるのか。朝っぱらからばかばかしい。帰れ、帰れ」
「まあ、許してよ」
「まったくお前の言う通り、鵜を買ってっても土産にはならねえ。話の種に値段を聞いただけのことだから、冷やかされると言われりゃあ一言もねえ。でも、この鵜はどこかで捕まえたんだ?」
「4、5日前にどこからか飛んできて。多分明神の森に帰るやつが道に迷ったんだろう。森にいるやつを捕まえるのは面倒だけど、俺の家に舞い込んできたやつを捕まえるのは俺の勝手だ。あいつは荒鵜の中でも荒いやつだから、不用意に近づいて噛まれても知らねえぞ。慣れてる俺でも怪我をした」
「あいつが友蔵か。なるほど、愛想のない奴らしい」
「善八がつまらない冷やかしをするから、こんな奴にまで謝ることになった」
「本当に幽霊が出るかどうか知らねえが、あんな奴のところに出たら災難だ。幽霊に肩揉ませるか、飯炊かせるか、わからねえよ」
原文 (会話文抽出)
「え、ひやかしちゃあいけねえ。おめえ達はその鳥を知っているのか。それは鵜だよ。荒鵜だよ。おめえ達のような人間の買う物じゃあねえぜ」
「鵜は知っているが、値を訊いてみたのよ」
「それだからひやかしだと云うのだ。江戸の人間が鵜を買って行って、どうするのだ。それとも此の頃の江戸じゃあ、鵜を煮て喰うのが流行るのか。朝っぱらからばかばかしい。帰れ、帰れ」
「まあ、堪忍してくんねえ」
「まったくおめえの云う通り、鵜を買って行っても土産にゃあならねえ。話のたねに値段を訊いただけのことだから、ひやかしと云われりゃあ一言もねえ。だが、この鵜は何処で捕ったのだね」
「四、五日前に何処からか飛び込んで来たのよ。おおかた明神の森へ帰る奴が戸惑いをしたのだろう。森にいる奴を捕るのはやかましいが、おれの家へ舞い込んで来たのを捕るのは、おれの勝手だ。そいつは荒鵜のなかでも荒い奴だから、うっかり傍へ寄って喰い付かれても知らねえぞ。馴れている俺でさえも怪我をした」
「あいつが友蔵か。成程、可愛くねえ奴らしい」
「善ぱが詰まらねえひやかしをするので、あんな奴にあやまる事になった」
「本当に幽霊が出るか出ねえか知らねえが、あんな奴のところへ出たら災難だ。幽霊に肩を揉ませるか、飯を炊かせるか、判ったものじゃあねえ」