GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 海野十三 『蠅男』
現代語化
「うん、今初めて見たんだけど、あれがハエ男に違いない」
「え、ハエ男!あれがそうなの?」
「残念ながらやられたよ。車が山の端を曲がったところで、ハエ男はヒョイっと飛び降りて茂みに隠れたんだ。後は下り坂の道だから、車はゴロゴロと勝手に下りてったんだよ。そこに気づかなかったのが敗因だな。とにかく一本取られた。でもハエ男の顔をよく見れたのは、最近じゃ一番の収穫だ」
「おい、帆村さん。あいつ味噌樽下ろしてるよ」
「うん、ハエ男はあの三輪車で逃げるつもりなんだ。俺たちが崖を這い上がるまでには、少なくとも3、40分はかかるって計算してるんだ。それに、崖を這い上がっても俺たちに乗り物がないってこともわかってる。まるで知恵のついたジゴマだなあ……」
「おい、危ねえ。車の後ろに隠れてろ」
原文 (会話文抽出)
「呀ッ、あれは誰だす」
「うむ、今はじめて見たんだが、あれこそ蠅男に違いない」
「ええッ、蠅男! あれがそうだすか」
「残念ながら一杯うまく嵌められた。自動車があの山の端を曲ったところで、蠅男はヒラリと飛び下りて叢に身をひそめたんだ。あとは下り坂の道だ。自動車はゴロゴロとひとりで下っていったのだ。ああそこへ考えがつかなかった。とにかく一本参った。しかし蠅男の姿をこんなにアリアリと見たのは、近頃で一番の大手柄だ」
「呀ッ、帆村はん。あいつは味噌樽を下ろしていまっせ」
「うん、蠅男はあの三輪車に乗って逃げるつもりなんだ。僕たちが崖へ匍いのぼるまでには、すくなくとも三、四十分は懸ることをチャンと勘定にいれているんだ。その上、うまく崖の上に匍いあがっても、僕たちに乗り物のないことを知っているんだ。まるで、ジゴマのように孀にたけた奴……」
「おう、危い。自動車のうしろに隠れろッ」