GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 海野十三 『蠅男』
現代語化
「ああこの変な臭いですか。これ昨夜からしていてましたで。さよう、10時ごろでしたな。おう今、えらいプンプンしますな」
「そうですか。昨夜の10時ごろからですか」
「一体どの辺から匂ってくるのでしょう」
「さあ?」
「風は昨夜から、どんな風に変りましたか」
「ああ風ですか。風は、そうですなア、今も昨夜も、ちっとも変わっていません。北西の風です」
「北西というと、こっちになりますね。どうです、消防手さん。こっちの方向に、何かこう煙の上っているようなところは見えませんか」
「さようですねア、ちょっと見てみましょう」
「いかがです。何か見えるでしょう」
「さあ――ちょっと待ってくださいね」
「――ああ、あれかもしれません」
「ええッ、ありましたか」
「3町ほど向こうです。岸姫町というところですな。まあ、これに違いないと思います。一つ覗いてみてください」
「――な、見えますやろ。どえらい不細理性な倉庫か病院かというような灰色の建物が見えますやろ」
「ああ、これだな」
「見えましたやろ。そしたら、その屋根の上から突き出しとる幅の広い煙突を見てください。なんやしらん、セメンが一部剥がれて、赤レンガが出てるようですな」
「ウン、見える見える」
「見えてでしたら、その煙突の上を見てください。煙が薄く出ていますやろ、茶色の煙が……」
「おお出ている出ている、茶色の煙がねえ」
原文 (会話文抽出)
「おお、このへんな臭いだ。ここでもよく臭いますね。この臭いはいつから臭っていましたか」
「ああこの怪ったいな臭いですかいな。これ昨夜からしてましたがな。さよう、十時ごろでしたな。おう今、えらいプンプンしますな」
「そうですか。昨夜の十時ごろからですか」
「一体どの辺から匂ってくるのでしょう」
「さあ?」
「風は昨夜から、どんな風に変りましたか」
「ああ風だすか。風は、そうですなア、今も昨夜も、ちっとも変ってえしまへん。北西の風だす」
「北西というと、こっちになりますね。どうです、消防手さん。こっちの方向に、なにかこう煙の上っているようなところは見えないでしょうか」
「さよですなア、ちょっと見てみまひょう」
「いかがです。なにか見えるでしょう」
「さあ――ちょっと待っとくなはれ」
「――ああ、あれかもしれへん」
「ええッ、ありましたか」
「三町ほど向うだす。岸姫町というところだすな。まあ、これに違いないやろ思いまっさ。ひとつ覗いてごらん」
「――な、見えますやろ。どえらい不細工な倉庫か病院かというような灰色の建物が見えまっしゃろ」
「ああ、これだな」
「見えましたやろ。そしたら、その屋根の上から突き出しとる幅の広い煙突をごらん。なんやしらん、セメンが一部剥がれて、赤煉瓦が出てるようだすな」
「ウン、見える見える」
「見えてでしたら、その煙突の上をごらん。煙が薄く出ていまっしゃろ、茶色の煙が……」
「おお出ている出ている、茶色の煙がねえ」