海野十三 『地中魔』 「しかし大事件を頼んでいったよ。芝浦の大東…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『地中魔』

現代語化

「やべー話頼まれたぜ。芝浦の大東京倉庫の社長が来たんだ。昨日の夕方、沖から荷を積んだ船が桟橋に向かって来てたんだって。そしたら途中で船がブクブク沈んじゃった。大事な品物だったから今朝早く潜水士を潜らせたら、船は海底に沈んでたけど、調べてたらすごいことが分かった」
「面白そうじゃん」
「何が面白いんだよ」
「荷物のの一部がなくなってるらしい。しかも一番大事なやつが」
「その荷物って、なーによ?」
「地下鉄会社が買ったドイツ製の穴掘る機械だ。地底を走る機関車みたいなやつ。3トンもある重たい機械が跡形もなくなくなってるんだって」
「地底機関車ってのは、超速で穴掘る機械で、世界で1台しかないんだってさ。しかも作ったドイツの工場でもう作れないんだって」
「なんで?」
「作った技術者が死んじゃったからだ」
「地下鉄は真っ青になって、早く探してくれって頼んできたんだ。それで俺のところに頼みに来たんだ。ケッ」
「あんたのことじゃなく、先生のところに頼みに来たんだよ。誰が大辻老なんか……」
「ところが、ケケケ。――先生は今フランスに出張中なんだよ。先生が手を出せないんなら、次席の名探偵大辻又右衛門先生が行くしかないだろ。つまり俺に頼まれたってことなんだよ。フンッ」

原文 (会話文抽出)

「しかし大事件を頼んでいったよ。芝浦の大東京倉庫の社長さんが来たんだ。昨日の夕刻、沖合から荷を積んでダルマ船が桟橋の方へやって来るうち、中途で船がブクブク沈んでしまった。貴重な品物なので今朝早く潜水夫を下してみたところ、チャンと船は海底に沈んでいた。しかし調べているうちに、大変なことを発見した」
「面白いね」
「なにが面白いものか」
「荷物の一部がなくなっているんだ。しかも一番急ぎの大切な荷物が」
「その荷物というのは、なーに?」
「地下鉄会社が買入れた独逸製の穴掘り機械だ。地底の機関車というやつだ。三噸もある重い機械が綺麗になくなってしまったんだ」
「地底機関車というのは、素晴しく速力の速い穴掘り機械で、今日世界に一つしかないものだそうだ。何しろそれを造った独逸の工場でも、もう後を拵えるわけにゆかない」
「なぜ?」
「それを作った技師が急死したからだ」
「地下鉄では青くなっている。是非早く探してくれというんだ。それでわしのところへ頼みに来た。ヘッヘッヘッ」
「あんなこといってら。先生に頼みに来たんだよ。誰が大辻老なんかに……」
「ところが、ヘッヘッヘッ。――先生は今フランスへ出張中だ。先生が手を下されることは出来ないじゃないか。そうなれば、次席の名探偵大辻又右衛門先生が出馬せられるより外に途がないわけじゃないか。つまりわしが頼まれたことになるのじゃ。オホン」


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