GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 海野十三 『三人の双生児』
現代語化
「でも僕は、長いこと女の子にされて海盤車娘ってやつをやってましたよ。女といえば女じゃないですか」
「それは違うでしょう。あなたが女の子に化けたのは8、9歳から後のことでしょう。興行師に連れてかれてから、都合よく女の子にされたんじゃないですか。私の記憶はもっと幼い5、6歳の頃のことです。その頃の私はちゃんと両親に育てられてたので、男の子をわざわざ女の子にして育てるなんてことはなかったと思います」
「そうなんでしょうかね」
「それにさ、世間を見ても双子は男の子同士とか女の子同士が多いじゃないこと。それからさっきからあなたの顔を見てますけど、あなたと私は全然顔も違えば、体の付き方も全然違う気がします。でしょ?どこもかしこも違うでしょ。無理に似たところを探すと、体が痩せてなくて肉付きがいいのと、あと月の輪みたいな眉毛と腫れぼったい瞼とまあそんなとこじゃないかしら」
「それだけ似ていれば……」
「それくらいの似方なら、どんな他人同士だって似てるわよ。とにかくあなたは、私が探してる双子の1人じゃないと思うんです」
「そう言わないで、助けてください」
「だ、私は今病気なんです。だから働けないんです。もう3日間も、ろくに食事を取れていません。どんどん体も弱ってきます。お願いですから、助けてください」
原文 (会話文抽出)
「こうして話を伺っていると、あたしとあんたとは、たいへん身の上が似ているように思いますわよ。でも、あたしとしては、知りたいと思う一番大事なことが、いまのあんたの話では説明されてないように思うのよ。第一それはネ、あたしと双生児のその相手というのは、あんたみたいに男ではなくて、女だと信じているわ。つまりこうなのよ。あたしが小さいとき、その双生児の寝ている座敷牢のようなところへ行ったときに、その子は頭髪に赤いリボンをつけていたのをハッキリ憶えているのよ。赤いリボンをつけているんだから、きっとその子は女に違いないと思うわ」
「しかし僕は、長いこと女の子にされてしまって海盤車娘というやつをやっていました。女といえば女じゃありませんか」
「さあ、それは違うでしょう。あんたが女の子に化けたのは八九歳から後のことでしょう。興行師の手に渡ってから、都合のよい女の子にされちまったんじゃありませんか。あたしの憶えているのはずっと幼い五六歳のころのことです。その頃のあたしはちゃんと父母の手で育てられていたので、男の子を特別に女の子にして育てるというようなことはなかったと思うわ」
「そうでしょうかしら」
「それにサ、世間をみても双生児には男同志とか女同志とかが多いじゃないこと。そしてさっきからあんたの顔を見ているのだけれど、あんたとあたしとはまるで顔形も違っていれば、身体のつきも全然違っているように思うわ。ね、そうでしょう。どこもここも違っているでしょう。強いて似ているところを探すと、身体が痩せていないで肉がボタボタしていることと、それから月の輪のような眉毛と腫れぼったい眼瞼とまアそんなものじゃないこと」
「それだけ似ていれば……」
「それくらいの相似なら、どんな他人同志だって似ているわよ。とにかくあんたは、あたしの探している双生児の一人じゃないと思うわ」
「そういわないで、僕を助けて下さい」
「ぼ、僕はいま病気なんです。それで働けないのです。僕はもう三日も、碌に食事をしないでいます。ますます身体は悪くなってきます。お願いですから、助けて下さい」