海野十三 『三人の双生児』 「僕を持っていたのは蛭間興行部の銀平という…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『三人の双生児』

現代語化

「俺を飼ってたのは蛭間興行部の銀平って親分だったんだけど、俺は祭礼に来る人から大人5銭、子供2銭の木戸銭とって、青いカーバイトの光の下で、土間を海に見立ててのたうち回り、「海盤車娘」の踊りとか、見たくない裸を見せたり、時にはお景品で濁酒臭い村の若者に体を触らせたりしてました。もちろんお客さんは、俺を女だと思ってたんです。本当は俺は男なんですけど。でも、生まれつき血色の悪いぽっちゃりした体とか、それから親分の命令でわざと女の子みたいに伸ばしてた長い髪とかが、俺を女に見せてたんでしょうね」
「海盤車娘って、あなたの体に何か変わったところでもあるんですか」
「あります、と言えばあるんでしょう。でも結局は興行師の無理なこじつけでした。それでお客さんはインチキを見せられたことになると思うんですが、実は俺の背中の左側に楕円形の大きな傷跡があるんです。で、俺がその傷跡を動かそうとすると、その傷跡は赤く膨れて背骨より5、6分盛り上がって、上下左右にピクピク動くんです。だから、昔俺の背中に1本の腕が生えてて、その付け根から切断したせいで、跡が傷跡になってるように見えるんです。見世物になるときは、そこにゴム製の長い触手を付けて、それを本当の腕みたいに動かしてました。つまり俺は2本の足と3本の腕を持ってるんで、ちょうど5本の腕の海盤車の化け物ってわけなんです。どうですか。もしよろしければ、ここでその気持ち悪い傷跡をお見せしましょうか」
「まあ、ちょっと待ってね―」

原文 (会話文抽出)

「僕を持っていたのは蛭間興行部の銀平という親分でしたが、僕は祭礼に集ってくる人たちから大人五銭、小人二銭の木戸をとった代償として、青いカーバイト灯の光の下に、海底と見せた土間の上でのたうちまわり、自分でもゾッとするような『海盤車娘』の踊りや、見せたくない素肌を曝したり、ときにはお景物に濁酒くさい村の若者に身体を触らせたりしていました。もちろん見物の衆は、僕のことを女だと思っていたのです。本当は僕は立派に男なんです。けれど生れつき血の気のないむっちりとした肉体や、それから親分の云いつけでワザと女の子のように伸ばしていた房々した頭髪などが、僕を娘に見せていたのでしょう」
「海盤車娘って、あんたの身体になにか異ったところでもあるんですか」
「それは異状があれば有るといえるのでしょう。でも結局は興行師の無理なこじつけでした。それで見物の衆はインチキ見世物を見せられたことになると思うのですが、実は僕の背の左側に楕円形の大きな瘢痕があるんです。そして僕がその瘢痕を動かそうとすると、その瘢痕は赤く膨れて背中よりも五六分隆起して上下左右思うままにピクピクと動くのです。ですからどうかすると、むかし僕の背中には一本の腕が生えていたのを、その附け根から切断したために、跡が瘢痕になっているようにも見えるのでした。見世物になるときは、そこにゴム製の長い触手をつけ、それを本当の腕であるかのように動かすのでした。つまり僕は二本の脚と三本の腕とを持っているので、丁度五本の腕の海盤車の化け物だというのです。いかがです。もしお望みでしたら、今此所でその気味の悪い瘢痕をごらんに入れてもようございます」
「まあ、ちょっと待ってちょうだい――」


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