海野十三 『三人の双生児』 「嘘を仰有い。あんたは一体いくつなの。妾よ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『三人の双生児』

現代語化

「嘘ついてるでしょ。あなたって一体いくつなの。私より5つ6つ下じゃないの」
「そんなことないですよ。俺、これでも23か4なんです」
「あら、私が23なの知ってて、わざとそんなこと言うんでしょ」
「いやいや、そんなことないです。本当に23か4なんです」
「23か4ですって、3か4かハッキリしないのは、どういうわけなの」
「実は俺、親なし子なんです。兄弟がいるかも分かりません。どうにかして小さい頃のことを知りたかったんですけど、あの新聞広告が目に付いたんです。世の中似たような人もいるもんだなって思いました。とにかく行ってみれば、もしや自分の幼い頃のことが分かる手掛かりがあるかもしれないと思って、それで来たんです。俺、小さい頃のことを何も覚えてないんです。記憶に残ってる一番古いことは、確か8、9歳の頃です。その頃は、恥ずかしいですけど、見世物に出てました。鎮守さまのお祭りの時とかに、古い幟をつないだテント張りの小屋をかけて、貴重なる学術参考「世界に唯一人の海盤車娘の曲芸」ってのをやってました」

原文 (会話文抽出)

「嘘を仰有い。あんたは一体いくつなの。妾よりも五つ六つ下じゃないの」
「そんなことはないでしょう。僕、これでも二十三か四なんです」
「あら、妾が二十三なのを知ってて、わざとそんなことを仰有るのでしょう」
「いえいえ、そんなことはありません。本当に二十三か四なんです」
「二十三か四ですって、三か四かハッキリしないのは、一体どういうわけなの」
「実は僕は親なし子なんです。兄弟があるかどうかも分っていません。どうにかして小さいときのことを知りたいと思って気をつけていたところへ、あの新聞広告が眼についたのです。世の中には似たような人もあるものだナと思いました。とにかく伺ってみればもしや自分の幼いときのことが分る手懸りがありはしないかと思って、それでやって来たというわけです。僕は小さいときのことをすこしも憶えていません。記憶に残っている一番古いことは、たしか八九歳の頃です。そのころ僕は、お恥しいことですけれど、見世物に出ていました。鎮守さまのお祭のときなどには、古幟をついだ天幕張りの小屋をかけ、貴重なる学術参考『世界に唯一人の海盤車娘の曲芸』というのを演じていました」


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