海野十三 『恐怖の口笛』 「やっぱりそうだ!」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『恐怖の口笛』

現代語化

「やっぱりそうか!」
「覆面探偵の青竜王は、やっぱり痣蟹だったんだ」
「どうですか検事さん。覆面探偵が怪しいって言っておいたこと、無駄じゃなかったでしょ」
「いや、やっぱり無駄かもしれない。これは痣蟹の死体とは認めるけど、青竜王の死体と認めるのはまだ早い。……君のために作られたような舞台だって言ったのは、実はこれなんだ。つまり青竜王の覆面を取れば痣蟹であるって誤解が起きるように用意されてる。……」
「じゃ検事さんは、これを見ても、痣蟹が青竜王に化けてたとは信じないんですか」
「それはもちろん信じる。でも真の青竜王が痣蟹だったってこととは別の問題だ」
「大江山君、その問題は後回しにして、この痣蟹は、明らかに吸血鬼にやられてるようだけど、どう思うね」
「はい、確かに吸血鬼です。この抉りとられたような首の傷、それから紫斑がすごく薄いことから見ても、恐ろしい吸血鬼の仕業に違いありません」
「すると、痣蟹が吸血鬼だって君のこないだの断定は撤回するんだね」
「おっしゃる通り、痣蟹が吸血鬼なら、こんな殺され方はしません。吸血鬼は外の人だと思います」
「じゃ撤回したね。――すると本当の吸血鬼はどこに潜んでるんだ。もちろん大江山君は、吸血鬼が覆面探偵・青竜王だとは言わないだろう」
「もちろんです。――実は、私は最初吸血鬼は痣蟹に違いないと思い、次に青竜王かもしれないと思ったんですが、両方とも違うことが分かりました。外に怪しいと睨んでる人は、最初の犠牲者四郎少年の兄を名乗る、西一郎だけなんですけど…」

原文 (会話文抽出)

「やっぱりそうだ!」
「覆面探偵の青竜王は、やはり痣蟹だったのだ」
「どうですか検事さん。覆面探偵が怪しいと申上げておいたことも、無駄ではなかったですネ」
「いいや、やっぱり無駄かも知れない。これは痣蟹の屍体とは認めるけれど、青竜王の屍体と認めるのにはまだ早い。……君のために作られたような舞台だといったのは、実はこれなのだ。つまり青竜王の覆面を取れば痣蟹であるという誤が起るように用意されてある。……」
「では検事さんは、これを見ても、痣蟹が青竜王に化けていたとは信じないのですか」
「それはもちろん信じる。しかし真の青竜王が痣蟹だったということとは別の問題だ」
「大江山君、その問題は後まわしとして、この痣蟹は、明らかに吸血鬼にやられているようだが、君はどう思うネ」
「ええ、確かに吸血鬼です。この抉りとられたような頸もとの傷、それから紫斑が非常に薄いことからみても、恐ろしい吸血鬼の仕業に違いありません」
「すると、痣蟹が吸血鬼だという君のいつかの断定は撤回するのだネ」
「おっしゃる通り、痣蟹が吸血鬼なら、こんな殺され方をする筈がありません。吸血鬼は外の者だと思います」
「では撤回したネ。――すると本当の吸血鬼はどこに潜んでいるのだ。もちろん大江山君は、吸血鬼が覆面探偵・青竜王だとはいわないだろう」
「もちろんです。――実をいえば、私は最初吸血鬼は痣蟹に違いないと思い、次に青竜王かも知れぬと思ったんですが、両方とも違うことが分りました。外に怪しいと睨んでいるのは、最初の犠牲者四郎少年の兄だと名乗る、西一郎だけになるのですが……」


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