海野十三 『ゴールデン・バット事件』 「用て、なんだい」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『ゴールデン・バット事件』

現代語化

「おい、なんだよ」
「わかってるでしょ――」
「早く返さないとまずいよ」
「早く返せ。何をだよ?」
「しらばっくれるなんて、らしくないじゃん」
「なっ、なんだって?」
「こうなったらはっきり言っちゃうわ。――あなた、前に丘田さんのとこで、盗んでったものあるでしょ」
「何言ってんだよ」
「ほら、やましいから、赤くなってるじゃないの。悪いこと言わないから、今すぐ帰って、あの薬をあたしんとこに持ってきてよ。いいこと。あたしから丘田さんに謝っておくから」
「わかった、考えるよ」
「考えるじゃないわよ。早くしないと困るんだよ」
「ま、いいよ。ちょっと考えさせてよ」
「あなたが金のことを心配してるんでしょ?少しくらいなら、あたしがあげるよ」
「ばかなこと言うな……」
「どうしたの」
「薬を盗んだって言うけど、それなら君に言うはずないじゃないか」
「うん。あなたのことでしょ。だから、あの時、袖を引いて注意したじゃないか」

原文 (会話文抽出)

「用て、なんだい」
「解ってるでしょう――」
「あんた、早く返さないと悪いわよ」
「早く返せ。な、なにをだい?」
「白っぱくれるなんて、男らしくないわよ」
「なッなんだって?」
「こうなりゃハッキリ云ったげるわよ。――あんた先に丘田さんのところで、盗んでいったものがあるでしょう」
「なにを云うんだ」
「ほら、やましいから、赤くなったじゃないの。悪いことは云わないから、これから直ぐ帰って、あの薬をあたしンところへ持っていらっしゃい。いいこと。あたしから丘田さんにうまく謝って置いてあげますからネ」
「よし、考えとくよ」
「考えとくじゃないわよ。早くしないと困るのよ」
「まアいいよ。すこし考えさせろよ」
「あんたお金のことを云っているのネ。すこし位のお金なら、あたしからあげてもいいわ」
「莫迦なことを……」
「どうした」
「薬を盗んだというが、それなら君に云いそうなものじゃないか」
「うん。そりゃ君のことさ。だから僕があのとき袖を引いて注意をしてやったじゃないか」


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