海野十三 『地獄街道』 「これは?」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『地獄街道』

現代語化

「これは?」
「さっきの女の家で、箱詰になった青年3人全員が泊まってたことが判った。3人とも夜中に消えたから覚えてるんだって。遺留品も出て来たよ」
「おー」
「でもその青年たちは、打ち合わせたみたいに近所の薬屋で、かゆみ止めの薬を買って体に塗ってたみたいなんだ」
「3人全員が?」
「そうなんだ。3人全員がだよ。それがこの薬屋でかゆみ止めの薬を買って、体に塗るんだ。女の話によると、もともと全身かゆがって死にそうになってたんだって」
「なんでそんなにかゆい客をわざわざ泊めたんだ?」
「いや、それは、「○かゆい(家につくちょっと前から始まる)」――ってことで、最初からかゆがってたわけじゃないんだ」
「じゃあどこかで拾ってきた客なんだね?」
「これだ。「○ストリート・ガール(銀座で引っぱられる)」――つまり銀座から、あの場所まで連れてくうちに、かゆくなったんだ」
「どうして、かゆくなったんだ?」
「それは後で話すよ」
「おいタバコ買ってきてくれ。それからシャンパンのグラス持ってきて、冷やして用意しといて」
「あら、景気いいね」
「さあ一杯やろうよ」
「うん」
「どうだ、これを飲んでみないか。君の口に合うと思うよ」
「あらら。ミチ子の先生、今夜はどうかしてるわ。コンコドスを私の前に置いて、自分のところには置いてないじゃない。すごい手回しね」
「コンコドスって無色透明なの?」
「違うよ違うよ。コンコドスは黄色いレモン水みたいなやつだよ。それ、その通り……」
「あっちの方じゃない?」
「いや、こんなに茶色じゃないよ」
「さあ乾杯!」

原文 (会話文抽出)

「これは?」
「さっきの女のうちに、箱詰になった青年が三人とも泊ったことが判った。三人とも夜中にいなくなったので覚えているそうだ。遺留品も出て来た」
「ほほう」
「ところがその青年たちは、申し合わせたように近所の薬屋で、かゆみ止めの薬を買って身体に塗ったそうだ」
「三人が三人ともかい」
「そうなのだ。三人が三人ともだ。それがこの薬屋でかゆみ止めの薬を買って、身体に塗るしさ。女の話では、なんでもその前は全身かゆがって死ぬように藻がいていたそうだ」
「どうしてそんなにかゆがる客をわざわざ取ったのだ」
「イヤそれは、○かゆい(家につくちょっと前から始まる)――なんで、始めからかゆがっていた訳じゃないのだ」
「じゃどこかで拾ってきた客なのだネ」
「これだ。○ストリート・ガール(銀座で引っぱられる)――つまり銀座から、あの場所まで引張ってゆくうちに、かゆくなったのだ」
「どうして、かゆくなったのだ」
「それは後から話すよ」
「オイ煙草を買って来て呉れ。それからシャンパンの盃をあげるから、冷して用意しといて呉れ」
「まア景気がいいのネ」
「さア一杯やろうよ」
「ウン」
「どーだ、これを飲んでみないか。君の口にはよく合うと思うがな」
「オヤオヤ。ミチ子の先生、今夜はどうかしているぞ。コンコドスを僕のところへ置かないで君の前へちゃんと置いているじゃないか。莫迦に手廻しがいいなア」
「コンコドスって無色透明なのかい」
「ちがうよちがうよ。コンコドスは黄色いレモン水のようなやつさ。それ、そのとおり……」
「その方のじゃないか」
「イヤ、こんなに褐色がかってはいないよ」
「さア乾杯だ」


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