海野十三 『赤外線男』 「どうです。フィルムの現像は出来ましたか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『赤外線男』

現代語化

「どうよ。フィルムの現像できた?」
「できたんだけど……」
「どうしたの?」
「ダメだったよ。赤外線灯の前に人がドヤドヤ立ってて、肝心なとこ真っ暗で、何も写ってない」
「深山氏とダリアは調べた?」
「今度は念入りに調べたよ。身体検査も120パーセントでやった。ダリアも気の毒だけど、婦人警官に任せて、かなり過激に調べたし、包帯も全部取らせて、眼鏡も取られて、まぶたもひっくり返されるまでやったけど、何も出てこなかった」
「ダリアの目はどうよ?」
「ますます悪くなってるみたい。左目はもう失明するかもしれないって。右目も充血がひどくなってるらしい」
「ダリアは目の悪さでアリバイがあるとして、深山氏の行動に不審はないのか?」
「それが深山氏は閣下にいろいろ説明してた最中なんだよ。深山氏が喋ってるのに、閣下が『うーん』って言って倒れちゃったんだ。深山氏を疑うなら、喋りながら手を動かして針を刺したってことになっちゃうけど、そんなのムリだよ」
「じゃ、二人はシロってこと?」
「まあ、そうなるね。二人とも懲りて、もう二度とあんな装置のある部屋には行かないって言ってるよ」
「じゃ、犯人は誰なんだ?」
「赤外線男――でしょ」
「課長さん、赤外線男だと言って満足してんの?」
「今はそうしてるよ。前は半信半疑だったけど、今日は完全に赤外線男の仕業だって思うようになった。こっちもあの装置を24時間ぶっ通しで動かして、赤外線男を見つけ出してみせるよ」
「でも、レンズは室内に向けたほうがいいよ。赤外線男が室内にウロウロしてるかもしれないんだから」

原文 (会話文抽出)

「どうです。フィルムの現像は出来ましたか」
「出来たのですが……」
「どうしたんです?」
「駄目でした。赤外線灯の前に、どういうものかドヤドヤと人が立って、肝心のところは真暗で、何にも写ってやしません」
「深山氏とダリア嬢は、調べましたか」
「今度こそはというのでよく調べました。身体検査も百二十パーセントにやりました。ダリア嬢も気の毒でしたが、婦人警官に渡して少しひどいところまで、残る隈なく調べ、繃帯もすっかり取外させるし、眼鏡もとられて眼瞼もひっくりかえしてみるというところまでやったんですが、何の得るところもありません」
「ダリア嬢の眼はどうです」
「ますますひどいようですよ。左眼は永久に失明するかも知れません。右眼も充血がひどくなっているそうです」
「ダリア嬢は眼のわるい点でいいとして、深山氏の行動に不審はなかったんですか」
「ところが深山氏は閣下にいろいろと詳しく説明していた最中なのです。深山氏が喋っているのに、閣下はウーンといって仆れられたのです。深山氏を疑うとなれば、喋っていながら手を動かして鍼を突き立てるということになりますが、これは実行の出来ないことですよ」
「すると二人の嫌疑は晴れたのですか」
「まあ、そうなりますネ。二人もこれに懲りて、今後はどんなことがあっても、あの装置を働かす暗室内へは行かないと云っていますよ」
「では犯人は一体誰なんです」
「赤外線男――でしょうナ」
「課長さんは、赤外線男だといって満足していられるんですか」
「今となっては満足しています。昨日までは稍信じなかったですが、今日という今日は、赤外線男の仕業と信じました。この上は、私どもの手で、あの装置を二十四時間ぶっ通しに運転して、赤外線男を発見せずには置きません」
「しかし、レンズは室内を睨ませたがいいですよ。あの室内に赤外線男がウロウロしているのではネ」


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