海野十三 『赤外線男』 「この事件を真先に発見したのは、誰かネ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『赤外線男』

現代語化

「この事件を最初に発見したのは、誰ですか」
「私です」
「私は毎晩研究所を見回っています」
「発見したときのことを詳しく話してください」
「午前2時頃だったと思います。見回りの時間が来たので、懐中電灯を持って、夜番の部屋から外に出ようとしたら、気のせいか、どこかで物を壊すようなゴトゴトバリバリという音がします。どうやら深山研究室の方向のようでした。これは火事でも起きたのかと思って、ドアを開けて真っ暗な外に一歩踏み出したところ、おなかをドスンと一発やられて、そのまま何もわからなくなりました。とても寒いので気がついたら、もう夜が明けかけていて、私は元の部屋の土間に転がってるありさまでした。そこから慌てて窓から外に飛び出して、門番がいるところまで駆けつけて、大変だと叫んだんです」
「すると、おなかをやられた時、人の姿とかは見なかったんですか?」
「それが何も見えませんでした」
「ついでに聞きますが、赤外線人間って聞いたことありますか?」
「あります。昨夜のあれは、赤外線人間だったんでしょうか」

原文 (会話文抽出)

「この事件を真先に発見したのは、誰かネ」
「儂でございます」
「儂は毎晩研究所を見廻わっている役でございます」
「発見当時のことを残らず述べてみなさい」
「あれは午前二時頃だったかと思いますが、見廻わりの時間になりましたので、懐中電灯をもって、夜番の室から外に出ようとしますと、気のせいか、どっかで物を壊すようなゴトゴトバリバリという音がします。どうやら深山研究室の方向のように思いました。これは火事でも起ったのかと思い、戸口を開けて闇の戸外へ一歩踏み出した途端に、脾腹をドスンと一つきやられて、その儘何もかも判らなくなりました。大変寒いので気がついてみますと、もう夜は明けかかり、儂は元の室の土間の上に転がっているという始末。それから駭いて窓から外へ飛び出すと、門衛のいますところまで駈けつけて、大変だと喚きましたようなわけです」
「すると、お前が脾腹をやられたとき、何か人の形は見なかったか」
「それが何にも見えませんでございました」
「序に聞くが、お前は赤外線男というのを聞いたことがあるか」
「存じて居ります。昨夜のあれは、赤外線男でございましたでしょうか」


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