海野十三 『赤外線男』 「昨夜この男がデスナ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『赤外線男』

現代語化

「昨夜この男が来たんです」
「轢死婦人の服や持ち物を1つ1つ調べて、これ全部妹の持ち物に違いない。このコンパクトがどうの、この帯どめがどうのと本当らしいことを言ってたんです。だから昨夜の当直も信じたんだと思います」
「いや、本当にそうなんです」
「あれは嘘じゃなくて本当なんです。妹のものに違いないんですけど、さっき突然帰ってきた本物の妹も、あれと同じ服を着て、同じハンドバッグやコンパクトとかを持ってるんです。つまり同じ格好をして、同じ持ち物を持った女性が2人いたってことになるんで、僕らには不思議というより、説明のつかないことなんです」
「でも隅田」
「とにかく、お前は他人の死体を処分してしまったことになるな。あの轢死婦人の骨を持ってきたか?」
「いや、それがですね。実は火葬にしなかったんです」
「火葬にしなかった?」
「はい。僕らの墓地はかなり広くて、先祖代々土葬してるんです。で、あの間違えた女性の遺体も、白木の棺桶に入れて、そのまま土葬したんです」
「ふむ、土葬か」
「じゃあすぐに掘り出して、署まで持って来い。警察官に行かせるから、その指示に従え。分かったか」

原文 (会話文抽出)

「昨夜この男がデスナ」
「轢死婦人の衣類や所持品を一々点検しまして、これは全部妹の持ち物に違いない。このコンパクトがどうの、この帯どめがどうのと本当らしいことを云っていったのです。ですから昨夜の当直も信じられたのだと思います」
「イヤ全く、あれは本当なのです」
「あれは出鱈目でなくて間違いないのです。妹のものに違いないのですが、さっき漂然と帰宅した本物の妹も、あれと同じ衣類を着、同じハンドバッグや、コンパクトなどを持っているのです。つまり同じ服装をし、同じ持ち物をした婦人が二人あったという事になるので、これは私どもには不思議というより外、説明のつかないことなのです」
「しかし隅田」
「兎に角、お前は他人の屍体を処分してしまったことになるネ。あの轢死婦人の骨は持ってきたか」
「いや、それがです。実は火葬にしなかったのです」
「火葬にしなかった?」
「はい。私どもの墓地は相当広大でございまして、先祖代々土葬ということにして居ります。で、あの間違えたご婦人の遺骸も、白木の棺に納めまして、そのまま土葬してございますような次第です」
「ううん、土葬か」
「では直ぐに掘り出して、本署へ搬んで来い。警官を立ち合わせるから、その指揮を仰ぐのだ。よいか」


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