海野十三 『間諜座事件』 「死線は近づいたぞ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『間諜座事件』

現代語化

「いよいよだな」
「探ってた敵の副司令官が分かったってことか」
「ああ、義眼入れたレビュー・ガールに化けてやがった」
「でもスパイ組織に潜入するなんて、地獄に飛び込むようなもんだぞ。緊張したり驚いたりしてバレないようにしろよ」
「あそこには敵のスパイがいっぱいいるんだろうな」
「観客の中に毎晩100人近くいるらしい。で、舞台上のボスと何か秘密のやり方で連絡を取り合ってるんだって」
「ボスより副司令官のあの女の方が怖いのか?」
「そうだ。あの女は悪魔の生まれ変わりだ」
「じゃああの副司令官を今夜こっちの手で始末する段取りになったのか?」
「ああ。――どういう方法でやるかは知らんが、副司令官が義眼入れてレビュー・ガールに化けてるってのがバレたのが運の尽きだな。おお、もう5時半だ。時間があんまりないぞ。さあ出発だ」
「ちょっと待ってくれ、冷酒がある。乾杯しよう」
「地獄で会おうぜ」
「お世話になったな」

原文 (会話文抽出)

「死線は近づいたぞ」
「かねて探していた敵の副司令が判ったというわけだな」
「ウン、義眼を入れたレビュー・ガールとは、うまく化けやがった」
「だが間諜座へ入ることは、地獄の門をくぐるのと同じことだ。固くなったり、驚いたりして発見されまいぞ」
「あのなかは敵の密偵で一杯なんだろうな」
「毎夜、観客の中に百人近くの密偵が交っているということだ。そして何か秘密の方法で、舞台上の首領と通信をしているそうだ」
「首領よりか副司令のあの小娘が恐ろしいのか」
「そうだ。あの小娘は悪魔の生れ代りだ」
「するとあの副司令を今夜のうちに、こっちの手でやッつける手筈になったんだな」
「ウン。――どうしてやッつけるかは知らないが、副司令のやつ、義眼を入れてレビュー・ガールに化けているてぇことを、嗅ぎつけられたが運の尽きだよ。おお、もう五時半だ。あといくらも時間が無いぞ。さア出発だ」
「おっと待ちな、冷いながら酒がある。別れの盃と行こう」
「地獄で会おうぜ」
「世話になったな」


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