海野十三 『省線電車の射撃手』 「帆村さん。お駄賃にちょっと返事をして下さ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『省線電車の射撃手』

現代語化

「帆村さん。お礼にちょっと答えてよ」
「本物の犯人、戸浪三四郎は、目立たない爺さんに変装したり、美女に人の目を向けさせながら、その影で犯罪を繰り返したんでしたっけ」
「戸浪が目をつけたのが、片耳が聞こえない美女の赤星龍子。彼女の隣に座って、サイレンサー付きピストルで撃ったんだけど、龍子の耳がかなり良くなってて、戸浪が撃ったの気づいちゃったんです。そこでトドメ刺そうとしたけど、しくじった。分かった?帆村さん。んで、龍子が意識戻ったって噂が届いたから、戸浪は伝研の病院に忍び込んだ。チャンスが来たんで、寝てる龍子の心臓あたりを撃とうとしたけど、そこは刑事にバレて捕まっちまった。俺の手柄は言いませんが、戸浪が使った偽物のピストルも見つかったんです。帆村さん、分かった?」
「うまく龍子を殺したと思ったのは戸浪の勘違いだった。龍子は目黒駅で死んでたんだ。生きてるって噂は、犯人をおびき出すために帆村探偵さんが作った作戦だった。戸浪は探偵小説家の名を汚して、彼の変態的な純情に殉じたんですね」
「戸浪は車内でピストルをどこに隠してたんですか……」
「ああ、それ抜かすと俺の手柄がなくなっちゃうな。戸浪はピストルの口を、上着の右ポケットの穴から出して撃ってたから、俺以外誰も気づかなかった。どう?」

原文 (会話文抽出)

「帆村さん。お駄賃にちょっと返事をして下さい」
「真犯人戸浪三四郎は、目立たぬ爺に変装したり、美人に衆人の注意を集めその蔭にかくれて犯罪を重ねた、いいですね」
「戸浪三四郎が目星をつけて置いた掩護物は片方の耳の悪い美女赤星龍子だった。龍子の隣りに席をとった彼は消音ピストルを発射して巧みにごまかした。ところが龍子の聴力は余程恢復していたので、とうとう龍子に犯行を感付かれた。そこで彼は殺意を生じたが、マンマとやり損じた。いいですね、帆村さん。 ええと、それから、龍子は重症だが、一命をとりとめると噂が耳に入ったので、戸浪三四郎は彼女の跡を追って伝研の病室へ忍び入り、機会を待った。チャンスが来た。寝ている龍子の心臓のあたりをポンポン打った。イヤ消音ピストルだからプスプス射ったというんですね、そこを待ち構えていた刑事諸君の手でつかまっちまった。僕の手柄は手前味噌ですから書きません。無論戸浪が犯行につかったインチキ・ピストルも発見せられた。いいですね、帆村さん。 うまく龍子を射殺したと思ったのは戸浪の思いちがいだった。 龍子は目黒駅に居るとき死んでいたのだった。生きているような噂が拡がったのは、犯人をおびき寄せるため帆村探偵の案出した手だった。戸浪は、探偵小説家の名を汚し、彼の変態的な純情(?)に殉じた、とでも結んで置きますか、ねえ帆村さん」
「戸浪君は車内ではピストルをどこに隠してたか……」
「ああ、それを忘れちゃっちゃ、お手柄がなんにもならないな。エエと、戸浪はピストルの口を、上衣の右ポケットの底穴から覗かせて射ったため、僕の外には誰も気がつかなかった、というのはどうでしょう」


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