GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 海野十三 『省線電車の射撃手』
現代語化
「でも戸浪さん。犯人を解く謎は、それだけじゃないですよ」
「謎がそんなにたくさんあるなんて、大間違いです」
「僕は案外単純な事件だと思うんですけど……」
「戸浪さん、あなたは弾丸が車内で撃たれたのか、それとも車外から撃ち込まれたのか、どちらだと思います?」
「そこですよ、大江山さん。僕は昨日その質問を受けた時、車外説を出しました。今夜分の殺人を聞いてみますと、3人とも同じ場所で、同じ右側に座った人が、同じく心臓を撃たれたそうですね。それは車内で撃ったとしてもあり得ることですが、その正確な射撃ぶりから考えて、何か車外の場所に、すごく正確な銃器をセットして、機械的に標的を狙ったと考えた方が、面白くないですか?」
「すると、どんな機械なんでしょうか?」
「僕もよく知りませんが、4、5センチの口径のあるピストルなんて、市場にはそうそうない品物です」
「ほうほう、よく口径をご存知ですね」
「法医学教室にいる友達に聞いたんです。それで犯人は特別な科学知識を持っていて、恐ろしい武器を持っていると考えます。ピストルを消音にするくらいは、わけありません。発砲の火を隠すには、かなり長い管を使って、先に弾丸が出る小さな穴をあけておけばいいです。車掌が窓の外に火を見なかったのも、こんな仕組みなら説明がつきます。あとは、電気を使って発砲することもできるでしょう」
「わかります!」
「射撃手が暴れるのは、3人とも約束したように夜間に限っているのはどういうわけでしょう。わかりますか? これは面白い問題です。車内に殺人鬼がいるのなら、何も夜を選ばなくても、昼間だって比較的空いている電車はあるでしょうから、撃ちたくなるはずです。それがなくて夜に限るというのは、あの精密機械を、ある場所に設置する必要があるからです。機械や、犯人の姿を見られては困るからです」
原文 (会話文抽出)
「探偵小説家は実際の犯罪をしない。それは、いつもペンを走らせて犯罪を妄想しているから、犯罪興奮力が鈍っているのだ」
「だが戸浪さん。犯人を解く謎は、そればかりではなく、沢山あるのですよ」
「謎がそう沢山あると思うのは、大間違いです」
「僕は案外単純な事件だと思うが……」
「戸浪さん、貴方は弾丸が車内で射たれたか又は車外から射ちこんだか、どっちと考えていますか」
「それですよ、大江山さん。僕は昨日その質問をうけたとき、車外説をもち出しました。今夜の殺人の話をきいてみますと、三人が三人とも同じ地点で、同じ右側にかけた人が、同じく心臓を射たれたそうですね。それは車内で射ったとしてもあり得ることですが、その正確なる射撃ぶりから推して、何か車外の地点に、非常に正確な銃器を据えつけて、機械的に的を覘ったのだと考えた方が、面白くありませんか」
「すると、どんな機械なんでしょう」
「僕もよくは知りませんが、四・五センチの口径をもったピストルなんて、市場にはちょっと見当らない品です」
「ほほう、よく口径を御存知ですね」
「法医学教室にいる友人に聞いたのです。それで犯人は特殊な科学知識をもっていて、恐るべき武器を持っていると考えるのです。ピストルを消音にすること位は、わけはありません。発砲の火を隠すためには、相当長い管をつかって、先に弾丸の出る小さい穴をあけとけばよろしい。専務車掌が窓外に火を見なかったというのも、こんな仕掛けをすれば説明がつきます。あとは、電気を使って発砲させることもできるでしょう」
「わかります!」
「射撃手が跳梁するのは、三人が三人とも申し合わせたように夜間に限るのはどうしたものでしょう。いいですか、これは面白い問題です。車内に殺人鬼がいるのだったら、なにも夜分を選ばなくても、真昼間だって割合空いた電車があるでしょうから、射ちたくなる筈です。それがなくて夜に限るというのは、この精巧な器械を、或る地点に据えつける必要があるからなんです。器械や、犯人の姿を見られては困るからです」