海野十三 『赤耀館事件の真相』 「どうしたんだ、勝見はどうしたんだ?」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 海野十三 『赤耀館事件の真相』

現代語化

「どうしたんだ、勝見はどうしたんだ?」
「とんでもないことになってるんです。僕はすぐ、あいつの故郷の岡山県S村に行ったんだけど、あいつの居場所がさっぱりわからないんだ。村の人に聞いてようやくわかったのは、勝見は病気で村を出たってことだった」
「病気? それでどこに行ったんだ?」
「村人の話だと、肉腫ができてたみたいで、気の毒なことだって言ってたよ。行き先は村役場で聞けたんだけど、K県の管轄になってる離島なんだ。療養所があるそうだよ。僕は思い切ってその島に行って勝見に会ってきたんだけど、気の毒だった。でも勝見の写真に似た顔してて、赤耀館のこととかも全部知ってたから、間違いなく勝見だよ。それでね、あいつを連れてくるのは絶対に無理だってわかったんだ。それに連れてきたって意味ないことがわかった。っていうのも、綾子夫人が死んだ7月30日には、あいつはずっと療養所の中にいたことが証明されたんだ。ほら、ここに療養所長の証明書がある」

原文 (会話文抽出)

「どうしたんだ、勝見はどうしたんだ?」
「どうもおかしなことになりました。私は早速、彼奴の郷里である岡山県のS村に行きましたが、彼奴の居所がさっぱりわからないのです。村の人達にきいてやっと知れたことは、勝見は病気のため村を去ったそうです」
「病気? そしてどこへ行ったのか?」
「村人の話では、肉腫が出来ていたそうで、実に気の毒なことだと言っています。行先は村役場できくことが出来ましたが、K県の管轄になっている孤島であります。療養所が設けられてあるところだそうです。私は思い切ってその島を尋ね、勝見に会って来ましたが、気の毒なものです。しかし勝見の写真で見覚えのある面影があった上に、赤耀館のことも何から何までよく知っていましたから、勿論勝見に違いありません。そんなわけで彼奴をひっぱって来ることは、絶対に不可能なんです。それにひっぱって来たって駄目なことが判りました。というのは、綾子夫人が死んだ七月三十日には、彼奴は療養所の中から一歩も外へは出なかったことが判明したのです。御覧なさい、ここに療養所長の証明書があります」


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