芥川龍之介 『鴉片』 「子胡んぞ此に在るか? 此れ豈久しく留る可…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『鴉片』

現代語化

「お前ここに何してるんだ?こんなとこに長居するつもりか?さっさと俺について出てこい」
「アヘンだよ」
「アヘンってなんだ?」
「今は平和が続いて人口がパンクしてるんだろ?だからデカい厄災が必要なんだ。昔からデカい厄災と言えば火事や戦争とかだけど、そういうのって賢い奴もバカもまとめて死んじゃう。善人にも悪人にも関係なくね。そこで天の神様たちは会議を開いて、アヘンっていう新しい厄災を作ることにしたんだ。アヘンっていうのは、世の中に生えてるケシの花の汁を煮詰めてペースト状にしたものだ。これを吸うやつは厄災の中にいて、吸わないやつは厄災の外にいる。自分から吸うか吸わないか決めてもらえば、神様のせいにはできないだろ?それでアヘンで人口を減らせば、火事や戦争とかの厄災はだいぶ減るはずなんだ。でもケシの花の汁は薄くて、そのままじゃペーストにならない。だから地獄の王様を呼び出して、地獄で悪い奴らの魂から血を絞り出して、それを地上にあるケシの花の根っこに灌ぐように命令したんだ。そうするとケシの花の汁が濃くなって、煮詰めれば真っ黒なペーストができる。お前も覚えておけ。あと何十年もしたら、このアヘンっていうのが世界中に広まるんだ」
「すると突然、何人かが男と女を何十人も引き連れてやってきた。みんな鞭で叩かれていて大変つらそう。みんなで声をそろえて泣いてる」

原文 (会話文抽出)

「子胡んぞ此に在るか? 此れ豈久しく留る可けんや。速に我に従つて出でよ。」
「鴉片煙膏なり。」
「鴉片煙とは何物ぞ?」
「方今承平日に久しく、人口過剰に苦しんでゐる。宜しく大劫の銷除する有るべし。元来大劫なるものは水火刀兵の災に過ぐるものはない。この劫に遇ふものは賢愚倶に滅びてしまふ。福善禍淫の説も往往此に至つて窮まるものである。そこで天帝は諸神の会議を召集し、特に鴉片煙劫を創めることにした。鴉片煙劫とは世間の罌粟の花汁を借り、熬錬して膏と成し、人の吸食に任ずるものである。この煙を食ふものは劫中に在り、この煙を食はざるものは劫中に在らず。その人の自ら取るに任かせて造物の不仁を咎めさせないのである。この劫有りて以て人口過剰の数を銷除すれば、則ち水火刀兵の諸劫は十の五六を減ずるであらう。けれどもこの罌粟と云ふものは草花に属するものであり、古来世間には多いものである。その又汁も淡薄であるから、熬して膏とすることは出来ない。故に九幽の主に命じ、無間地獄中に不忠不孝無礼義破廉恥諸罪の魂を選び取つてこの間に録送し、膏血を搾取して地上山陵原隰墳衍の神に転付し、この膏血をして罌粟の花根内に灌ぎ入らしめ、根よりして上は花苞に達せしむれば、則ちその汁も自然に濃郁にして、一たび熬錬を経れば、光色黝然たらん。子試みに之を識れ。数十年の後、この煙天下に遍からん。」
「忽ち又人有り。数十の男婦を駆りて至る。鞭策甚だ苦。声を斉うして呼号す。」


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