岡本綺堂 『半七捕物帳』 「お話は先ずこれぎりです」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「話はとりあえず以上です」
「お直は生きていました」
「生き返ったんですか?」
「そうですよ。もともと女の手で首を絞められたんで、一時的に息が止まったけど、また生き返ったんです。駕籠に乗せられてる途中で自然に息を吹き返したんですが、駕籠屋は最初から病人だと思ってるから、別に不思議にも思わなかったみたいなんです。千吉は驚いたんですが、まあとにかく自分の家に連れてきて、駕籠屋を帰してしまいました。死んだ人が生き返ったんだから、本来なら喜ぶはずなんですが、この千吉ってのが悪い奴で、生かして帰しちゃったら倉田屋から大金をもらえない。いっそのこと黙ってどこかに売り飛ばして自分の懐を潤せば、一石二鳥だと思って悪いことを考えたんです。お直には猿轡をして戸棚の中に入れておきました。倉田屋には、その死体をどこかに埋めたかのようなことを言って、約束の礼金をもらって、その後も相手の弱みにつけこんで、時々ゆすりに行こうと考えていたんです。昔はこういう悪い奴が結構いました。もうちょっと遅かったら、お直は山女郎の手渡されて、取り返すにしても面倒なことになってたでしょうけど、ちょうどいいタイミングで取り返しました」

原文 (会話文抽出)

「お話は先ずこれぎりです」
「お直は生きていましたよ」
「生き返ったのですか」
「そうですよ。もとが女の手で喉を絞めたんですから、一時は息がとまっても、また生き返ったんです。駕籠にゆられて行く途中で自然に息を吹き返したのですが、駕籠屋は始めから病人だと思っているので、別に不思議にも思わなかったらしいんです。千吉はおどろいたんですが、まあともかくも自分の家まで連れ込ませて、駕籠屋を帰してしまいました。死んだ者が生きかえって、本来ならば喜ぶ筈なんですが、この千吉というのが良くない奴で、生かして帰してしまえば倉田屋からたんまりした礼金も貰えない。いっそ黙って何処へか売り飛ばして自分のふところを温めれば、一挙両得だという悪法を企んで、お直には猿轡をはませて戸棚のなかへ押し込んで置いたんです。そうして、倉田屋の方へは、その死骸を人の知らないところへ埋めたようなことを云って約束の礼金を貰い、その後も相手の弱味につけ込んで、時々ゆすりに行こうぐらいに考えていたんです。昔はこういう悪い奴が随分ありました。もうひと足おそいと、お直はどこかの山女衒の手に渡されて、たとい取り返すにしても面倒でしたが、いい塩梅にすぐに取り返してしまいました」


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