岡本綺堂 『半七捕物帳』 「ふうむ、それは初めて聴いた」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「ふ〜ん、それは初めて聞きました」
「でも、それだけのことで、他にも証拠らしきものはないんですよね?」
「それに、倉田屋ではどうもなあちゃんを恨んでいるらしいんです」
「なあちゃんは力ちゃんのところへよく遊びに行くので、姉のお紋さんともよく知ってます。それで、こっちでお紋さんをもらうのはやめたのは、なあちゃんが何か親たちや兄さんに告げ口をしたように思ってるらしいんです。そもそも、お紋さんって子も母親に似て虚栄家で、おしゃべりなお転婆で、近所で褒める人はいません。甲州屋でお嫁に迎えるのをやめたのも、結局はそのせいなんですが、それでもやっぱり身内びいきで、自分の娘の悪いことは棚に上げて、普段遊びに行くなあちゃんが家に帰って何か讒言でもしたように思い込んでるらしいんです。意地悪なおかみさんのことですから、それも仕方ありませんけど、根も葉もないことでむやみに人を恨んで、その上罪のないなあちゃんを疑って、もしそんなことをやりとげたら、どうしたって黙ってはいられません。旦那やかみさんが何を言おうと、私は我慢できません。ねえ、親分さん。そうじゃないですか?」

原文 (会話文抽出)

「ふうむ、それは初めて聴いた」
「だが、唯それだけのことで、ほかにはもう証拠らしいものはないんだね」
「それに、倉田屋ではどうもなあちゃんを怨んでいるらしいんです」
「なあちゃんはお力ちゃんのところへ始終遊びに行くので、姉さんのお紋さんともよく識っています。それで、こっちでお紋さんをもらうのを見合わせたのは、なあちゃんが何か親たちや兄さんにいいつけ口をしたように思っているらしいんです。一体、お紋さんという子も阿母さんに似た見得坊で、おしゃべりのお転婆で、近所で誰も褒める者はありゃしません。甲州屋でお嫁に貰うのを見合わせたのも、つまりはそのせいなんですが、それがやっぱり身贔屓で、自分の娘の悪いことは棚にあげて、ふだん遊びに行くなあちゃんが、家へ帰って何か讒訴でもしたように思い込んでいるらしいんです。ひがみ根性の強いおかみさんのことですから、それも仕方がありませんけれども、外道の逆恨みでむやみに人を怨んで、おまけに罪もないなあちゃんを疑って、万一そんなことを仕出来したとすれば、どうしたって打っちゃって置くことが出来ません。旦那やおかみさんが何と云おうとも、わたくしが黙っていられません。ねえ、親分さん。そうじゃございませんか」


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