岡本綺堂 『半七捕物帳』 「どうです。変な話じゃありませんか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「どうですか。不思議な話でしょ?」
「うむ、去年もそんな話があったな。お前は知らないか?」
「知りません」
「やっぱりそんな話ですか」
「まあ、そうだ。なんでも麻布辺の奴らだ。町人が3、4人で品川へ夜釣りに行くと、海の中からボサボサ頭の男がいきなり浮き上がってきたんだって。船に乗ってた奴らびっくりしてたら、その男がいきなり船に飛び乗ってきて、何か食わせろって言うんだ」
「へぇ、よく似てますね」
「それからどうしたんですか?」
「こっちはびっくりしちゃって、相手の言う通りにしたんだって。船に持ってた酒と弁当を出してやると、一気に飲んで食って、また海に飛び込んで消えたそうだ」
「まるで河童か海坊主みたいですね。そうすると、昨日のやつもやっぱりそれでしょう?」
「きっとそうだ」
「いくら広い世の中だって、そんな変な奴が何人もいるわけじゃない。きっと同じ奴に違いない。この間潮干狩に出た奴もやっぱりそれだろう。でも、不思議だな。人間のはずなのに水の中に住んでて、たまに陸や船に上がってくる。河童の親戚みたいだ。葛西の源兵衛堀でも探してみるかな」
「間違いない」
「わしゃ葛西の源兵衛堀、河童の息子でござります」

原文 (会話文抽出)

「どうです。変な話じゃありませんか」
「むむ、そんな話が去年もあったな。おめえは知らねえか」
「知りませんね」
「やっぱりそんな話ですかえ」
「まあ、そうだ。なんでもそれは麻布辺の奴らだ。町人が三、四人で品川へ夜網に行くと、海のなかから散らし髪の男がひょっくり浮き出したので、船の者はびっくりしていると、その男はいきなり船へ飛び込んで来て、なにか食わせろと云うんだ」
「へえ、よく似ていますね」
「それからどうしましたえ」
「こっちは呆気にとられているから、なんでも相手の云うなり次第さ。船に持ち込んでいる酒と弁当を出してやると、息もつかずに飲んで食って、また海のなかへはいってしまったそうだ」
「まるで河童か海坊主のような奴ですね。そうすると、ゆうべの奴もやっぱりそれでしょうよ」
「きっとそれだ」
「いくら広い世のなかだって、そんな変な奴が幾人もいるわけのものじゃあねえ。きっとおなじ奴に相違ねえ。このあいだの潮干狩に出て来た奴もやっぱりそれだろう。だが、妙な奴だな。人間の癖に水のなかに棲んでいて、時々に陸や船にあがってくる。まったく河童の親類のような奴だ。葛西の源兵衛堀でも探してみるかな」
「ちげえねえ」
「わたしゃ葛西の源兵衛堀、かっぱの伜でござります」


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