芥川龍之介 『鼠小僧次郎吉』 「おらもさうだらうと思つてゐた。三年前の大…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『鼠小僧次郎吉』

現代語化

「俺もそう思ってたよ。3年前の大夕立で雷獣を捕まえたって横山宿の勘太だろ、泣く子も黙る大泥棒だって。それが俺の前でびくともしないんだぜ」
「間違いないよ。そう言えばどことなく目が濁ってるもんな」
「ほんとだよな、だから俺は最初から、コイツは絶対大泥棒になるって言ってんだ。ほんと。今夜は弘法も筆の誤り、名人だって失敗する。失敗したけど、これが失敗してなきゃ見逃してたよ。二階のお客さん、全員裸にされるぜ」
「おい、番頭さん、鼠小僧の宿をしたのは、あんたのとこのご主人が運がいいんだ。俺の口を塞いじゃ、旅籠屋冥利に尽きないぜ。枡でいいから酒五合つけてくれよ」

原文 (会話文抽出)

「おらもさうだらうと思つてゐた。三年前の大夕立に雷獣様を手捕りにした、横山宿の勘太と云つちや、泣く児も黙るおらだんべい。それをおらの前へ出て、びくともする容子が見え無えだ。」
「違え無え。さう云やどこか眼の中に、すすどい所があるやうだ。」
「ほんによ、だからおれは始めから、何でもこの人は一つぱしの大泥坊になると云つてゐたわな。ほんによ。今夜は弘法にも筆の誤り、上手の手からも水が漏るす。漏つたが、これが漏ら無えで見ねえ。二階中の客は裸にされるぜ。」
「かう、番頭さん、鼠小僧の御宿をしたのは、御前の家の旦那が運が好いのだ。さう云ふおれの口を干しちや、旅籠屋冥利が尽きるだらうぜ。桝で好いから五合ばかり、酒をつけてくんねえな。」


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