岡本綺堂 『半七捕物帳』 「寅吉なんていうのは幾らもあるが、その商売…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「寅吉って名前のはたくさんいるけど、その商売まで分かるかしら?」
「そうですね。ただ寅吉とばかりで、その商売までは知っている人がいなくて困りました」
「ロイドと一緒に岩亀にに入り浸っていたようじゃ、勝蔵にも馴染みの女がいるだろうな」
「あります、あります。小秀という女で、勝蔵の野郎もかなり惚れてたみたいです。じゃあ、これから岩亀に出張って行って、その女を探ってみましょうか。もしかしたら、あいつの行先を知ってるかもしれません」
「いや、待て。むやみに騒いじゃいけない」
「そうなら女を探るまでもない。もしかしたら、本人がまた戻って来てるかもしれない。うかつに手をつけて気づかれたらお手上げだ。昼間におれたちがどやどやと押し掛けるのはまずい。ま、日が暮れるまで気長に待って、客のふりをして岩亀に行ってみようじゃないか」
「それがいいな。ここまで漕ぎ付けりゃ、そんなに急ぐことはない」
「今日はゆっくり浜見物でもして、日が暮れてから仕事に取り掛かりましょう」
「どうします。真っ直ぐ上がりますか?」
「岩亀で遊ぶ必要はない。ただ見物だけでもするから、とりあえず見物のつもりで上がってみて、その後のことは後から決めましょう」
「それもいいだろう。ここへ来たら地元の人のお任せだ」

原文 (会話文抽出)

「寅吉なんていうのは幾らもあるが、その商売は判らねえかしら」
「そうですね。ただ寅吉とばかりで、その商売までは知っている者がねえので困りました」
「ロイドと一緒に岩亀に入りびたっていたようじゃあ、勝蔵にも馴染の女があるだろうな」
「あります、あります。小秀という女で、勝蔵の野郎も大分のぼせていたらしいんです。じゃあ、これから岩亀へ出張って行って、その女を調べてみましょうか。ひょっとすると、あいつの行く先を知っているかも知れません」
「いや、待て。むやみに騒いじゃあいけねえ」
「そういうわけなら女を調べるまでもねえ。ひょっとすると、当人がまた舞い戻っているかも知れねえ。迂闊に手をつけて感付かれちゃあ玉なしだ。まっ昼間おれ達がどやどや押し掛けて行くのはまずい。まあ、日の暮れるまで気長に待っていて、客の振りをして岩亀へ行って見ようじゃあねえか」
「それがようがすな。ここまで漕ぎ付けりゃあ、そんなに急ぐことはねえ」
「きょうはゆっくり浜見物でもして、日が暮れてから仕事にかかるんですね」
「どうします。真っ直ぐにあがりますか」
「岩亀は遊ばなくってもいいんです。ただ見物だけでもさせるんですから、ともかくも見物のつもりであがってみて、それからの都合にしたらどうです」
「それもよかろう。ここへ来たら土地っ子のお指図次第だ」


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