岡本綺堂 『半七捕物帳』 「てめえは猿か。名はなんというのだ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「「おい、おまえは猿か? 名前はなんだ?」
「源吉と申します」
「そっちの幽霊は何者だ?」
「岩井三之助と申します」
「こんな嘘をついて、質の悪い奴らだ」
「これから俺の聞くことを何でも正直に言え。嘘をついたら、おまえらのためにならないぞ」
「はい」
「先月の終わりに、照降町の駿河屋の女隠居がここで急死した。おまえたちが何か悪いことをしたんだろう。大した脅かし方をしたんだな。隠さずに言え」
「違います。違います」
「じゃあ誰が殺したんだ?」
「さあ、正直に言え。言わなきゃおまえたちが殺したんだぞ。人を殺して無事に済むと思うか。全員連れて来い」
「親分、勘弁してください。言います。言います」
「言うのか?」
「おまえたちが言う前に、俺の方から言っておく。女隠居と一緒に、若い男がここへ来たんだろう?」
「はい」
「隠居さんは怖いから嫌だって言ったのを、男が無理やり連れて来たようだったな」
「そうですね。そのあとから男と女の二人連れが来たな。前の男と、あとの二人……。この3人のうちで、誰が隠居を殺した? 多分前の男じゃないだろう。あとの男が殺したんだろう」
「はい」
「おまえたちは、ここにいて全部見ていただろう。あとの男がどうして隠居を殺した?」
「私が女の髪をつかむと、女はキャーって言って、男に抱きつきました」
「男は、大丈夫だって言って、女を抱えるようにして三之助さんの方へ歩いてきました」
「私が手を挙げて招くようにすると、女はまたキャーって言って男にしがみつきました」
「その時、あとから来た男が駆け寄って、なにか金槌みたいなもので女の頭のあたりを叩きました。薄暗くてよくわかりませんでしたが、女はそれっきりぐったり倒れたようでした。それを見て、男同士はなにかコソコソ話しながら、急に帰っていきました」
「連れだった女はどうした?」
「連れだった女は後ろから眺めてるだけで、何も言わずに立ち去りました」

原文 (会話文抽出)

「てめえは猿か。名はなんというのだ」
「源吉と申します」
「そっちの幽霊は何者だ」
「岩井三之助と申します」
「こんないかさまをしやがって、不埓な奴らだ」
「これから俺の訊くことを何でも正直に云え。さもねえと、貴様たちの為にならねえぞ」
「へい」
「先月の末に、照降町の駿河屋の女隠居がここで頓死した。貴様たちが何か悪い事をしたのだな。質のよくねえ嚇かし方をしたのだろう。隠さずに云え」
「違います。違います」
「それじゃあ誰が殺したのだ」
「さあ、正直に云え。云わなけりゃあ貴様たちが殺したのだぞ。人を殺して無事に済むと思うか。どいつも一緒に来い」
「親分、勘弁してください。申し上げます。申し上げます」
「きっと云うか」
「貴様たちの云う前に、おれの方から云って聞かせる。女隠居と一緒に、若い男がここへ来たろう」
「まいりました」
「隠居さんは怖いから忌だというのを、男が無理に連れて来たようでした」
「そうか。そのあとから男と女の二人連れが来たろう。前の男と、あとの二人……。この三人のうちで、誰が隠居を殺した。おそらく前の男じゃあるめえ。あとから来た男が殺したか」
「へい」
「貴様たちは、ここにいて何もかも見ていたろう。あとから来た奴がどうして隠居を殺した」
「わたくしが女の髷をつかむと、女はぎゃっと云って、男に抱き付きました」
「男は、なに大丈夫だと云って、女を抱えるようにして三之助さんの方へ歩いて来ました」
「わたくしが手をあげて招くようにすると、女は又きゃっと云って男にしがみ付きました」
「その時に、あとから来た男が駈け寄って、なにか鉄槌のような物で女の髷のあたりを叩きました。薄暗くって、よくは判りませんでしたが、女はそれぎりでぐったり倒れたようでした。それを見て、男同士はなにか小声で云いながら、怱々に引っ返してしまいました」
「連れの女はどうした」
「連れの女はあとの方から眺めているだけで、これも黙って立ち去りました」


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