岡本綺堂 『半七捕物帳』 「済まねえが、そこまで顔を貸してくれ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「「ちょっと迷惑かけるけど、そこまで顔貸してくれないか?」
「おまえ、今日は仕事を休んでるのか?」
「はい」
「怪我してるみたいだな。喧嘩でもしたのか?」
「はい、くだらないことで友達と……」
「おい、長助。おまえは友達と喧嘩したんじゃねえだろ。昨日も仕事を休んだな」
「昨日も仕事を休んで浅草へ行ったんだろう?」
「それで幽霊小屋に行って、何か揉めたんだろう。はは、相手が悪かったな。おまけに多勢に無勢だ。殴られて突き出されて、ちょっとみっともなかったな」
「でも、相手はこういうことに慣れてる。ただ殴って突き出しただけじゃないだろう。そんで、仲裁する奴が出て来て、兄さん、まあ我慢してくださいとか何とか言って、一朱銀一枚くらい握らせたんだろう?」
「もうこうなったら隠すことはないだろう。おまえは一体何と言って、あの小屋に因縁を付けたんだ?」
「あの時、とんでもないところに居合わせて、私もいろいろ迷惑しました」
「見世物小屋の方はあの一件が評判になって、毎日大入りです。なんとか因縁を付けてやれって、友達が勧めるんで、私もついその気になって……」
「でも、それはちょっと無理だな。そんなところに居合わせたのは、おまえの不運っていうだけで、誰が悪いわけでもない。それで因縁を付けるのは、強請りってもんだろ」
「まあ、いい。おまえはどうして仕事を休んでるんだ? ちょうどもう昼だ。あそこらへ行って、飯でも食いながらゆっくり話そうじゃないか」

原文 (会話文抽出)

「済まねえが、そこまで顔を貸してくれ」
「おめえ、きょうは仕事を休んでいるのか」
「へえ」
「怪我をしているようだな。喧嘩でもしたのかえ」
「へえ、詰まらねえことで友達と……」
「おい、長助。おめえは友達と喧嘩したのじゃああるめえ。きのうも仕事を休んだな」
「きのうも仕事を休んで浅草へ行ったろう」
「そうして幽霊の小屋へ行って、何かごた付いたろう。はは、相手が悪い。おまけに多勢に無勢だ。なぐられて突き出されて、ちっと器量が悪かったな」
「だが、相手はこんな事に馴れている。唯なぐって突き出したばかりじゃああるめえ。そこには又、仲裁するような奴が出て来て、兄い、まあ我慢してくれとか何とか云って、一朱銀の一つも握らせてくれたか」
「もうこうなったら隠すことはあるめえ。おめえは一体なんと云って、あの小屋へ因縁を付けに行ったのだ」
「あの時、飛んだところへ行き合わせて、わたしもいろいろ迷惑しました」
「観世物の方はあの一件が評判になって、毎日大入りです。なんとか因縁を付けてやれと、友達どもが勧めますので、わたしもついその気になりまして……」
「だが、そりゃあちっと無理だな。そんな所へ行き合わせたのは、おめえの災難というもので、誰が悪いのでもねえ。それで因縁を付けるのは、強請がましいじゃあねえか」
「まあ、いい。おめえはどうで仕事を休んでいるのだろう。丁度もう午だ。そこらへ行って、飯でも食いながらゆっくり話そうじゃあねえか」


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