岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おまえは誰だ。どうして私を識っている」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「「お前は誰だ。どうして俺を知ってるんだ?」
「今の牛若先生という若先生が両国橋を歩いていらっしゃるのは、五条の橋の間違いじゃありませんか?」
「下谷の内田先生の息子に俊之助って方がいるのは、目が見えなくても知ってるでしょ。こないだの晩、柳原でちょっとお会いした時に、腕前を拝見しました。提灯の明かりでチラッと見たけど、構えや手先の動きが、ただ者じゃないと思いました。修行のために槍突きを探ってるのはいいけど、器用に駕籠抜けをしたり、身代わりに猫を置いていったりするから、世間が騒いで困ってます。もうこれからは冗談はやめてください。臆病者は震え上がってるんですから」
「全部よく知ってるな」
「それで、お前は誰なんだ?」
「御用聞きの七兵衛です」
「あ、そうなんだ。知ってるはずだ。親父のとこにも何回か来たことがあるよな」
「はい。この槍突きの一件で、お宅の旦那様にも少しお聞きしたことがありました」

原文 (会話文抽出)

「おまえは誰だ。どうして私を識っている」
「今牛若という若先生が両国橋を歩いていらっしゃるのは、五条の橋の間違いじゃあございませんかえ」
「下谷の内田先生の御子息に俊之助様という方のあるのは盲でも知っていましょう。このあいだの晩、柳原でちょっとお目にかかりました時に、お手並はすっかり拝見いたしました。提灯の火でちらりとお見受け申したところ、身のかまえ、小手先の働き、どうも唯の方ではないと存じました。御修行かたがた槍突きを御詮索になるのは結構ですが、器用に駕籠ぬけをして身代りに猫を置いていらしったりするもんですから、世間の騒ぎはいよいよ大きくなって困ります。もうこの後はどうか悪い御冗談はお見合わせください、臆病な奴らはふるえていけませんから」
「何もかもよく知っている」
「そうしてお前は誰だというに……」
「御用聞きの七兵衛でございます」
「ははあ、それでは知っている筈だ。親父のところへも二、三度たずねて来たことがあるな」
「へえ。この槍突きの一件で、お父様にも少々おたずね申しに出たことがございました」


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