岡本綺堂 『半七捕物帳』 「その猟師はなんという男で、てめえはどうし…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「「その猟師ってどんなやつで、お前はどうして知ってるんだ?」
「名前は作さんって言って、作兵衛って言うんだと思います」
「俺が作さんと知り合ったのは、この月の初めに親方の使いで、猪肉を少し内緒で買いに行ったとき、作さんは店でくつろいでいて、お互い挨拶したのが最初です。それから2、3日経って、俺が夕方に横網の河原を歩いてると、片側の竹藪の中に作さんが入ろうとしてて、そこでさっき狐を見つけたから追いかけて行こうとしてるんだって言いました」
「狐は捕まえたのか?」
「俺と喋ってる間に、もう遠くへ逃げちゃったからダメだったって言ってやめました」
「その猟師には博奕でいくら取られたんだ?」
「俺らの小遣い程度だから大したことなくて、せいぜい400か500両で、1貫くらい纏まったことはないですね。それでも他の奴らからも少しずつ取ってるから、本人は結構儲けてるかも。不思議なくらい上手なんだよね」
「毎晩博奕やってるのか?」
「俺らは毎晩じゃないけど、作さんは大抵毎晩どこかへ出かけるみたい。山の手にも小さい賭場がいっぱいあるらしいから、多分そこに行ってるんでしょう」
「よし、わかった。お前も色々教えてくれてありがとな。お礼に許してやるよ」
「ありがとうございます」

原文 (会話文抽出)

「その猟師はなんという男で、てめえはどうして識っているんだ」
「名前は作さんと云っています。たしか作兵衛と云うんでしょう」
「わたくしが作さんと懇意になったのは、この月の初めに親方の使いで、猪肉を少しばかり内証で買いに行ったときに、作さんは店に腰をかけていて、おたがいに二タ言三言挨拶したのが初めです。それから二、三日経って、わたくしが宵の口に横網の河岸を通ると、片側の竹藪のなかへ作さんがはいって行こうとするところで、今そこで狐を一匹見つけたから追っかけて行こうとするんだと云いました」
「狐はつかまえたのか」
「わたくしと話しているうちに、もう遠くへ逃げてしまったから駄目だと云ってやめました」
「その猟師には博奕で幾らばかり取られた」
「わたしらの小博奕ですから多寡が四百か五百で、一貫と纏まったことはありません。それでもほかの者から幾らかずつ取っていますから、当人のふところには相当にはいっているかも知れません。不思議に上手なんですから」
「毎晩博奕をうつのか」
「わたしらは毎晩じゃありません。でも作さんは大抵毎晩どこかへ出て行くようです。山の手にも小さい賭場がたくさんあるそうですから、大方そこへ行くんでしょう」
「よし、判った。てめえもいろいろのことを教えてくれた。その御褒美に御慈悲をねがってやるぞ」
「ありがとうございます」


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