GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「むむ。あまり寄り道したので、ちょっと疲れたようだ。情けないな。2年前に大山に登った時みたいな元気はないよ」
「ところで親分。私は先ほどここで風呂に行く途中でおかしな奴に会いましたよ」
「誰に会った?」
「誰だか知りませんけど、どう見ても堅気の人間ではありません。どこかで見た奴だと思うんですが、思い出せなくて……。とにかく廊下で私を見かけたら、慌てて顔をそらして行きましたから、向こうでも気づいたに違いありません。そんな奴が泊まってるようじゃ、ちょっと気をつけなきゃいけませんよ」
「まさか、胡麻の蠅じゃないだろう」
「小博打でも打つ程度の奴なら、旅篭屋に来て別に悪いことはしないだろう。博徒はかえって神妙なものだ」
「おい、多吉。起きろ、起きろ」
「親分。どうしたんです?」
「なんだか家じゅうが騒がしいようだ。火事か、泥棒か、起きてみろ」
原文 (会話文抽出)
「親分、くたびれましたかえ」
「むむ。あんまり道草を食ったので、ちっとくたびれたようだ。意気地がねえ。おとどし大山へ登った時のような元気はねえよ」
「時に親分。わっしは先刻ここの風呂へ行く途中で変な奴に逢いましたよ」
「誰に逢った」
「なんという奴だか知らねえんですけれど、なんでも堅気の人間じゃありません。どこかで見た奴だと思うんだが、どうも思い出せないので……。なにしろ廊下で私に逢ったら、あわてて顔をそむけて行きましたから、むこうでも覚ったに相違ありません。あんな奴が泊っているようじゃあ、ちっと気をつけなけりゃあいけませんぜ」
「まさか、胡麻の蠅じゃあるめえ」
「小博奕でも打つぐらいの奴なら、旅籠屋へきて別に悪いこともしねえだろう。道楽者は却って神妙なものだ」
「やい、多吉。起きろ、起きろ」
「親分。なんです」
「なんだか家じゅうがそうぞうしいようだ。火事か、どろぼうか、起きてみろ」