GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「お俊さんと時々見えます。この間も、紅葉狩りだって言って隅田川までお供しましたが、本当に寒いことで……。紅葉狩りなんて、今は流行らないですよね。雪見も、だんだん少なくなりましたよ」
「風流人が減ったんでしょうね」
「あなたなら知ってると思いますが、伊勢屋に贔屓の力士はいますか?」
「いますよ。万力甚五郎って人です……」
「万力甚五郎……。二段目ですね。すごい力があるそうですね……」
「力があります。まさに万力です……。そのうち幕内に上がるでしょう」
「伊勢屋の旦那は万力に力を入れてて、本場所はもちろん、深川で花相撲がある時も、毎日見物に行って大騒ぎです。万力もいい旦那に恵まれて幸せだって、みんなが羨ましがってますよ」
「伊勢屋の他に抱え屋敷はないんですか?」
「十万石の抱え屋敷もありましたが、残念ながら関係を切られてしまって、今は伊勢屋が最大の旦那場です。万力が抱え屋敷をしくじったのも、伊勢屋のためでもあるので、伊勢屋もなおさら万力の面倒を見なきゃならない義理があって……」
原文 (会話文抽出)
「そこで早速だが、六間堀の伊勢屋はこの頃も出かけて来るかえ」
「お俊さんと時々に見えます。このあいだも、枯野見だと云って上手までお供をしましたが、いやどうも寒いことで……。枯野見なんて云うのは、今どき流行りませんね。雪見だって、だんだんに少なくなりましたよ」
「通人が少なくなったのだろう」
「おめえなら知っているだろうが、伊勢屋に贔屓の相撲があるかえ」
「ありますよ。万力甚五郎で……」
「万力甚五郎……。二段目だな。たいそう力があるそうだが……」
「力がありますね。まったくの万力で……。近いうちに幕へはいるでしょう」
「伊勢屋の旦那は万力にたいへん力を入れて、本場所は勿論ですが、深川で花相撲のある時なんぞも、毎日見物に出かけて大騒ぎ。万力もいい旦那を持って仕合わせだと、みんなに羨まれていますよ」
「伊勢屋のほかに抱え屋敷はねえのか」
「十万石の抱え屋敷があったのですが、可哀そうにお出入りを止められてしまって、今じゃあ伊勢屋が第一の旦那場です。万力が抱え屋敷をしくじったのも、まあ伊勢屋の為ですから、伊勢屋も猶さら万力の世話をしてやらなけりゃあならない義理もあると云うわけで……」