岡本綺堂 『半七捕物帳』 「善昌は幾つですね」…

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青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「善昌っていくつだったんですか？」
「本人からもっきり聞いたことはありませんが、32か33か、それとも35か36くらいでしょう。見た目は若かったです」
「独身で、他に家族とかはいないんですよね？」
「自分では孤児で、天にも地にも全くの独り者だと言ってました」
「他所に泊まったことはあるんですか？」
「祈祷を頼まれて夜も昼も出歩くことはありましたが、遅くても必ず帰ってきて、家を空けたことは1晩もなかったようです」

原文 (会話文抽出)

「善昌は幾つですね」
「自分でもはっきり云ったことはありませんが、なんでも三十二三か、それとも五六ぐらいになっていましょうか。見かけは若々しい人でございました」
「独り者で、ほかに身寄りらしい者もないんですね」
「自分は孤児で、天にも地にもまったくの独り者だと、ふだんから云っていました」
「よそへ泊まって来たことがありますかえ」
「祈祷などを頼まれて、夜も昼も出あるくことはありましたが、遅くもきっと帰って来まして、家をあけたことは一と晩もなかったようです」

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