GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「何か面白いことはありましたか?」
「もう、何も」
「どうせ田舎だからね。でも、私が行ってる間は雀合戦というのが評判で、私も一度見物に行きましたよ。何万羽もいたっていう評判ほどではなかったけど、それでも5、600羽ぐらいが入り乱れて戦ってた。あれってどういうことなんですかね」
「東京でも昔そんな噂を聞いたことがあります」
「雀合戦、蛙合戦ってのは江戸時代にはよくあったみたいですよ。最近そういう噂がなくなったのは、雀とか蛙が減ってきたからでしょうね。あいつらも大勢いると、縄張り争いとか仲間喧嘩するようになるのかな。人間と同じですよ。はははは」
「よく降りますね」
「さっき言った雀合戦、蛙合戦の他に蛍合戦、蝶合戦なんかもあります。蛍合戦も私も一度、落合の方で見ました。それから蝶合戦……。あ、その蝶合戦について1つ話がありますけど、まだ話したことありませんでしたっけ?」
「まだです。ぜひ聞かせてください」
「その蝶合戦って何か事件に関係してるんですか?」
「それがもう、すごく面白いんですよ」
原文 (会話文抽出)
「あなたは義理が堅い。この降るのによくお出かけでしたね。あっちにいるあいだも、とかく降られ勝ちで困りましたよ」
「なにか面白いことはありませんでしたか」
「いや、もう」
「なにしろ、宇都宮から三里あまりも引っ込んでいる田舎ですからね。いや、それでもわたしの行っている間に、雀合戦があるというのが大評判で、わたくしも一度見物に出かけましたよ。何万羽とかいう評判ほどではありませんでしたが、それでも五六百羽ぐらいは入りみだれて合戦をする。あれはどういう訳でしょうかね」
「東京でも曾てそんな噂を聴いたことがありましたね」
「雀合戦、蛙合戦、江戸時代にはよくあったものです。この頃そんな噂の絶えたのは、雀や蛙がだんだんに減って来たせいでしょう。あいつらも大勢いると、自然縄張り争いか何かで仲間喧嘩をするようになるのかも知れません。人間と同じことでしょうよ。ははははは」
「よく降りますね」
「今もお話し申した雀合戦、蛙合戦のほかに螢合戦、蝶合戦などというのもあります。螢合戦もわたくしは一度、落合の方で見たことがあります。それから蝶合戦……。いや、その蝶合戦について一つのお話がありますが、まだお聴かせ申しませんでしたかね」
「まだ伺いません。聴かしてください」
「その蝶合戦が何か捕物に関係があるんですか」
「大ありで、それが妙なんですよ」