岡本綺堂 『半七捕物帳』 「あたしは最初からなんだか気味が悪くってし…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「私は最初からなんだか気持ち悪くて仕方がなかったんです。別にこれといった理由もないんですけど、ただなんとなく嫌な気持ちで……。そうしたら、とうとう途中で急に消えちゃったんです。私は夢中で四谷の方へ逃げ出して、これからどうしようかと思っているとちょうど棟梁が来てくれたので、私も生き返ったような気持ちになりました」
「それはちょっと変だな」
「師匠。その娘は16、7で、島田に結っていたって言ってたよね?」
「そうよ。よく見えなかったけど、色白の、わりとキレイな娘みたいだったわよ」
「なんで津の国屋に行くんだろう?」
「お雪さんに会うんだって……。お雪さんには初めて会うんだけれど、死んだ姉さんには会ったことがあるようなことを言ってたわ」
「ふーん。それはいかん」
「また来たのか」
「それじゃあ、棟梁。お前さんはあの娘を知ってるのか?」
「ふーん。かわいそうに、お雪さんも長くはないだろうな」

原文 (会話文抽出)

「あたしは最初からなんだか気味が悪くってしようがなかったんですよ。別にこうということもないんですけれど、唯なんだか忌な心持で……。そうすると、とうとう途中でふいと消えてしまうんですもの。あたしは夢中で四谷の方へ逃げだして、これからどうしようかと思っているところへ丁度棟梁が来てくれたので、あたしも生きかえったような心持になったんですよ」
「そりゃあ少し変だ」
「師匠。その娘は十六七で、島田に結っていたと云ったね」
「そうよ。よく判らなかったけれど、色の白い、ちょいといい娘のようでしたよ」
「なんで津の国屋へ行くんだろう」
「お雪さんに逢いに行くんだって……。お雪さんには初めて逢うんだけれど、死んだ姉さんには逢ったことがあるようなことを云っていました」
「むむう。そりゃあいけねえ」
「又来たのか」
「じゃあ、棟梁。おまえさん、あの娘を知っているのかえ」
「むむ。可哀そうに、お雪さんも長いことはあるめえ」


青空文庫現代語化 Home リスト