GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「そうでしょうよ」
「あれはもちろ作った話ですけど、百物語ってのは、昔は本当にやったもんですよ。何しろ江戸時代にはめちゃくちゃ怪談がはやりましたからね。芝居でも草双紙でもやたらとお化けが出たもんです」
「あなたの仕事にもたくさん怪談があるんでしょうね?」
「たくさんありますが、うちの怪談は本当のが少なくて、最後に行くとたいてい種が分かっちゃうのが困りますよ。あなたはまだ津の国屋の話は聞いてないですよね?」
「はい、知りません。怪談ですか?」
「怪談です」
「しかもこの赤坂にあったことなんです。これは私が表立って関わった事件じゃないんです。桐畑の常吉って若い奴がやった仕事で、私はその親父である幸右衛門って男に恩があったんで、陰で若い者の手伝いをしたわけですから、少し聞き落としているところもあるかもしれません。とにかく複雑に入り組んだ話で、簡単に聞くと嘘っぽく聞こえるかもしれませんが、紛れもない実話、そのつもりで聞いてください。昔と言っても、たった3、40年前ですけど、それでも世の中は全然違ってて、今の人には考えられないようなことが時々ありました」
原文 (会話文抽出)
「七偏人が百物語をしたのは、こんな晩でしょうね」
「そうでしょうよ」
「あれは勿論つくり話ですけれど、百物語なんていうものは、昔はほんとうにやったもんですよ。なにしろ江戸時代には馬鹿に怪談が流行りましたからね。芝居にでも草双紙にでも無暗にお化けが出たもんです」
「あなたの御商売の畑にもずいぶん怪談がありましょうね」
「随分ありますが、わたくし共の方の怪談にはどうもほんとうの怪談が少なくって、しまいへ行くとだんだんに種の割れるのが多くって困りますよ。あなたにはまだ津の国屋のお話はしませんでしたっけね」
「いいえ、伺いません。怪談ですか」
「怪談です」
「しかもこの赤坂にあったことなんです。これはわたくしが正面から掛り合った事件じゃありません。桐畑の常吉という若い奴が働いた仕事で、わたくしはその親父の幸右衛門という男の世話になったことがあった関係上、蔭へまわって若い者の片棒をかついでやったわけですから、いくらか聞き落しもあるかも知れません。なにしろ随分入り組んでいる話で、ちょいと聴くと何だか嘘らしいようですが、まがいなしの実録、そのつもりで聴いて下さい。昔と云っても、たった三四十年前ですけれども、それでも世界がまるで違っていて、今の人には思いも付かないようなことが時々ありました」