GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「また他に……。何が始まったんだ?」
「ここの劇場の様子を探ってみると、虎の役をやる奴は確かに市川照之助だけど、今日は楽屋に来てません。呼び物の虎が出てこない上に、錦祥女の役をやる坂東小三津って女役者も急病だってことで、今日は公演を休んでるんです。表向きは急病って言ってますけど、実は行方不明みたいで、劇場側は大騒ぎしてるそうです。こんなタイミングで、ちょっと変じゃないですか?」
「ふーん。それも面白いな」
「それで、小三津の家はどこだ?」
「小三津は師匠の小三の家にいます。小三の家は善光寺門前です」
「照之助の家は……」
「照之助は兄貴の岩蔵と一緒に、若松町の裏店に住んでます。兄貴も役者で市川岩蔵っていうんですけど、芝居が半分、博打が半分くらいのヤクザみたいな奴で、近所の評判は良くないです。母親は家政婦みたいな感じで、常磐津の師匠の文字吉の家で働いてますが、こちらもなかなかしっかりした人のようです。実は照之助の家を覗いてきたんですけど、兄貴も弟も留守で、家は空っぽでした」
「岩蔵ってどこの劇場に出てんだ?」
「弟と一緒に、ここに出 てたんですけど、なんかトラブルがあったみたいで、ここ2、3日は休んでるようです」
原文 (会話文抽出)
「さっき庄太さんに逢いましたが、又ほかに変なことがあるので……」
「又ほかに……。何が始まった」
「ここの小屋の様子を探ってみると、虎を勤める奴は確かに市川照之助ですが、きょうは楽屋に来ていません。呼び物の虎が出て来ない上に、錦祥女を勤める坂東小三津という女役者も急病だというので、きょうは舞台を休んでいるのです。表向きは急病と云っているが、実は其のゆくえが知れないので、芝居の方じゃあ大騒ぎをしているそうです。時が時だけに、少し変じゃあありませんかね」
「むむ。それも面白くねえな」
「そこで小三津の家はどこだ」
「小三津は師匠の小三の家にいるのです。小三の家は善光寺門前です」
「照之助の家は……」
「照之助は兄きの岩蔵と一緒に、若松町の裏店に住んでいます。兄きも役者で市川岩蔵というのですが、芝居が半分、博奕が半分のごろつき肌で、近所の評判はよくねえ奴です。おふくろはお金といって、常磐津の師匠の文字吉の家へ雇い婆さんのように手伝いに行っていますが、こいつもなかなかしっかり者のようです。実は照之助の家を覗きに行ったのですが、兄きも弟も留守で、家は空ッぽでした」
「岩蔵はどこの小屋に出ているのだ」
「弟と一緒に、ここの芝居へ出ていたのですが、それに就いて何か面倒が起こって、この二、三日は休んでいるようです」