GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「小三津はなんで親方に怒られたんだ?舞台の出来が悪かったのか、それとも男でも作ったのか?」
「小三津は堅い女で、今まで浮いた噂もなし、今でもそういうことはないらしいんだけど……」
「だから給料も貯めてたし、着物とかも結構買ってたみたいなんだけど、それらを全部なくしちゃって、それを親方に見つかって怒られたんだって」
「ギャンブルでもしたのかな?」
「まあ、そういうこともあるかもな。あいつらの中には、女でもいいから遊び目的で使うやつがいるしな。真面目に使ってなかったら、親方もそんなに怒らないだろうし。なんか悪いことしたんだろうね」
「ふーん」
「さっき見たら、木戸の前に小三津の新しい幟が立ってたよ。贈り主は常磐津文字吉って書いてある。小三津って文字吉と何か関係あんの?」
「文字吉は実相寺門前の師匠だけど、小三津をすごく贔屓してて、楽屋に差し入れしたり幟をあげたり、近くの料理屋に呼んだりしてたから、小三津の方も喜んで、最近では師匠の家にもよく出入りしてるみたい」
「それで怒られたわけでもあるまい」
「もちろんなんの関係もない話で……」
「芸人同士、女同士で、贔屓してくれるところに顔を出すのを、親方がうるさく言うわけねえだろ」
「全く。そんな野暮なこと言っちゃ、役者の仕事なんてできねえよ」
原文 (会話文抽出)
「なんと云っても女同士の寄合いですから、いろいろうるさいと見えますよ」
「小三津はなんで師匠に叱られた。舞台の出来が悪かったのか、それとも色男でもこしらえたか」
「小三津は堅い女で、これまで浮いた噂も無し、今でもそんなことは無いらしいというのですが……」
「それですから幾らか給金も溜めているし、着物なぞも相当に拵えていたのだそうですが、それをどうしてかみんな無くしてしまったのを、師匠に見付けられて叱られたのだとかいう噂です。どうしたのですかね」
「博奕でも打つかな」
「まあ、そんなことかも知れません。その連中には女でも手慰みをする者がありますからね。地道なことで無くしたのなら、師匠もそんなに叱る筈はありません。なにか悪いことをしたのでしょうね」
「むむ」
「今見たら、木戸前に小三津の新しい幟が立っている。呉れた人は常磐津文字吉とある。小三津は文字吉に何か係り合いがあるのかね」
「文字吉は実相寺門前の師匠ですが、小三津をたいへん贔屓にして、楽屋へ遣い物をしたり幟をやったり、近くの料理屋へ呼んだりしたので、小三津の方でも喜んで、このごろでは師匠の家へもちょいちょい出這入りをしているようです」
「それで叱られたわけでもあるめえ」
「勿論それは別の話で……」
「芸人同士、女同士で、贔屓にしてくれる所へ顔出しをするのを、師匠がやかましく云う筈はありません」
「まったくだ。そんな野暮を云っちゃあ、役者稼業は出来ねえ」