GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「後々になっていろんな細工をするようになったけど、最初は鳥の形を作ったものらしいっす。だから、飴細工を飴の鳥って言うんすよ。飴屋って一口に言うけど、昔はいろんな飴屋がいたんす。その中でも変わったのが唐人飴で、中華風の格好をして売り歩く奴らっす。コイツらは飴細工をするんじゃなくて、棒状の飴を一本二本ずつ売ってたんす」
「じゃあ、和国橋の髪結い藤次の芝居に出てくる唐人市兵衛なんてのは、それ系だろ?」
「そうですそうです。更紗で作られた唐人服を着て、鳥の羽の付いた唐人帽子をかぶって、草履を履いて、鉦を叩いてくる奴もいれば、チャルメラを吹いてくる奴もいる。子供が飴を買うと、おまけでわけのわからん歌を歌って、カンカンノウみたいなリズムで、変な踊りを見せてくれるんす」
「完全に子供だましなんすけど、その変な格好と踊りが受けて、子供たちに人気があったんす。そんで、その唐人飴の中にもいろんな種類がいて……」
「うっかり口が滑っちゃった以上、あなたみたいな詮索好きが聞き逃すわけねえですよね。話しますよ。ゆっくり聞いてくださいな」
原文 (会話文抽出)
「今の人たちは飴細工とばかり云うようですが、むかしは飴の鳥とも云いました」
「後にはいろいろの細工をするようになりましたが、最初は鳥の形をこしらえたものだそうです。そこで、飴細工を飴の鳥と云います。ひと口に飴屋と云っても、むかしはいろいろの飴屋がありました。そのなかで変っているのは唐人飴で、唐人のような風俗をして売りに来るんです。これは飴細工をするのでなく、ぶつ切りの飴ん棒を一本二本ずつ売るんです」
「じゃあ、和国橋の髪結い藤次の芝居に出る唐人市兵衛、あのたぐいでしょう」
「そうです、そうです。更紗でこしらえた唐人服を着て、鳥毛の付いた唐人笠をかぶって、沓をはいて、鉦をたたいて来るのもある、チャルメラを吹いて来るのもある。子供が飴を買うと、お愛嬌に何か訳のわからない唄を歌って、カンカンノウといったような節廻しで、変な手付きで踊って見せる。まったく子供だましに相違ないのですが、なにしろ形が変っているのと、変な踊りを見せるのとで、子供たちのあいだには人気がありました。いや、その唐人飴のなかにもいろいろの奴がありまして……」
「うっかりと口をすべらせた以上、どうであなたの地獄耳が聞き逃す筈はありません。話しますよ。まあ、ゆっくりとお聴きください」