岡本綺堂 『半七捕物帳』 「やい、おれを見そこなやがったか、貴様たち…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「おい、俺を舐めんなよ。おめえらごときに騙されるほど甘くねえよ。雑司が谷の鷹匠、吉見仙三郎がお杉って蕎麦屋の子とここで会ってんだことも、俺は知ってやがる。さあ、その鷹はてめえが捕ったんだろ?はっきりしろ」
「親分、それは無理っすよ」
「わかんねえってんなら、まだ口答えすんのか。おめえだって分かってるだろ?鷹取ったら死罪だぞ。てめえの首が飛ぶんだぞ。でも、こっちも都合があるから、素直にその鷹を出してくれりゃあ、今回は内々で済ませてやる。それとも俺と一緒に郡代屋敷に行くか、どっちでもいいぜ。好きにしろ」
「でも親分、ここは一軒家じゃねえっすよ。近所にも人がいっぱい住んでます。木の枝が折れてようが、鷹の羽が落ちてようが、俺とは関係ねえじゃねえっすか。わかんねえもんはわかんねえんすよ」
「屁理屈こくな。てめえが直接捕らねえでも、絶対に関わってるに決まってやがる。今日中に金が入るってのは、その鷹をどこかに売るつもりなんだろう。さあ、言え。てめえが捕ったのか、それとも吉見が捕ったのか」

原文 (会話文抽出)

「やい、おれを見そこなやがったか、貴様たちに眼つぶしを食うような俺じゃあねえ。雑司ヶ谷の鷹匠の吉見仙三郎が蕎麦屋のお杉とここの家で逢い曳きをしていることも、俺はちゃんと知っているんだ。さあ、その鷹は貴様が捕ったか、はっきり云え」
「親分。それは御無理ですよ」
「わたくしは全くなんにも知らねえんですから」
「まだ強情を張るか。貴様も大抵知っているだろうが、鷹を取れば死罪だぞ。貴様の首が飛ぶんだぞ。しかしこっちにも訳があるから、素直にその鷹を出してわたせば、今度だけは内分に済ましてやる。それとも俺と一緒に郡代屋敷へ行くか、どっちでも貴様の好きな方にしろ」
「でも、親分。ここは一軒屋じゃありません。近所にも大勢の人が住んでいます。木の枝が折れていようと、鷹の羽が落ちていようと、何もわたくしと限ったことはございますまい。まったく私はなんにも知らないのでございます」
「理窟をいうな。貴様が手をくだして捕らねえでも、たしかに係り合いに相違ねえ。きょう中に金がきっとはいるというのは、その鷹をどこへか売るつもりだろう。さあ、云え。貴様が捕ったか、それとも吉見が捕ったか」


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