GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「いや、そんなことないみたいです」
「だって、ちっちゃい枝がいっぱい折れてる。折れた跡がまっすぐ続いてるから、誰かが登ったみたいなんすよ。この辺に猿はいないんでしょ?」
「そうですね」
「じゃ、近所のガキが銀杏取りに登ったんじゃねえっすかね?いたずら者がいっぱいいますからね」
「そうかもな」
「あと、木の根元にこんなもんが落ちてたっすよ」
「鳥の羽ですね」
「どうも鷹の羽っぽいんすよ。おい、これって鷹の羽じゃねえっすか?」
「そうです。確かに、鷹の羽ですね」
「となると、鷹がこの木に降りてきて……」
「足緒が枝に絡まって飛べなくなったところを、誰かが登って捕まえた、と。まあ、そう考えるのが自然っすよね。枝は折れてんだし、鷹の羽も落ちてるんだし。そう判断するのが普通っしょ」
「全く鷹の羽に間違いありませんよ」
「そうっすか」
「おい、辰蔵。正直に言え。お前、この前の朝、この銀杏に降りた鷹を捕まえたんだろ?」
「冗談でしょ……。そんなこと知りませんよ」
「知らねえわけねえだろ。もう一つ、お前に確認したいことがある。お前の家に昨日、雑司が谷の鷹匠が泊まったんだろ?」
「い、いや、そんなことないです」
原文 (会話文抽出)
「おい、御亭主。この頃に誰かこの銀杏の木へ登りましたかえ」
「いいえ、そんなことは無いようです」
「だって、小さい小枝がみんな折れている。その折れた路がまっすぐに付いているのを見ると、どうも誰か登ったらしい。ここらに猿はいめえじゃねえか」
「そうでございます」
「それじゃあ近所の子供が銀杏を取りに登ったかも知れません。随分いたずら者が多うございますからね」
「そうかも知れねえ」
「それから木の下にこんな物が落ちていたが……」
「鳥の羽ですね」
「どうも鷹の羽らしい。もし、おまえさん。これは鷹でしょうね」
「そうです。たしかに、鷹の羽でございます」
「そうすると鷹があの木の上に降りて来て……」
「足の緒が枝にからんで飛べなくなったところを、誰かが登って行って捉えたと、まあ、こう判断するんですね。小枝は折れている。木の下に鷹の羽は落ちている。まあ、そう判断するのが無理のないところでしょうね」
「まったく鷹の羽に相違ありませんよ」
「そうですか」
「さあ、辰蔵。正直に云え。貴様はけさあの銀杏に降りた鷹を捕ったろう」
「御冗談を……。そんなことは知りません」
「知らねえものか。もう一つ、貴様に調べることがある。貴様の家へゆうべ雑司ヶ谷の鷹匠が泊ったろう」
「そ、そんなことはありません」